■トーセイ・リート投資法人 {{|0:}}の業績動向
1. 上場からの業績推移
上場時(2014年11月27日)には12物件(取得価格合計174億円)であった資産規模は、2015年11月と2016年11月の2回の公募増資等による物件取得に伴い、2017年4月期末には23物件(取得価格合計361億円)と、まだ小規模ではあるものの、着実に拡大してきた。
また、「1口当たり分配金」についても、稼働率の向上や賃料改定等により、毎期、当初予想を上回りながら順調に伸びており、運用成績は好調に推移している。
2. 2017年4月期の業績
2017年4月期(2016年11月1日−2017年4月30日)の業績は、営業収益が1,616百万円(前期比20.8%増)、営業利益が791百万円(同23.1%増)、経常利益が658百万円(同21.2%増)、当期純利益が657百万円(同21.2%増)であった。
2016年11月の公募増資により5物件(53億円)を取得したことで大幅な増収増益を実現し、1口当たり分配金も3,592円(前期比6.6%増)と増加した。
また、業績予想に対しても上回る結果となっている。
2017年4月末の運用資産は23物件、取得価格合計は361億円(前期末比17.3%増)に拡大した。
業績予想との増減要因は以下のとおりである。
営業収益は、稼働率改善による賃料及び共益費収入の上振れに加えて、想定外のその他収入(原状回復工事収入や解約違約金収入)により予想を上回った(予想比51.9百万円増)。
なお、期末稼働率は、住宅物件の改善等により98.4%(前期末比0.3ポイント増)と高い水準で推移している。
一方、賃貸事業費用については、原状回復費の増加などがあったものの、水光熱費(電気代)の圧縮などにより予想以下に抑えることができた(予想比3.7百万円減)。
ただ、一括償却などの特殊要因があった減価償却費及びその他費用は予想を上回った(合わせて予想比13.0百万円増)。
それらの結果、当期純利益は予想比42百万円増となった。
以上から、2017年4月期の業績を総括すると、外部成長(物件取得)により資産規模の拡大を図り、ポートフォリオの安定性(上位物件依存度の軽減など)や運用の効率性を高めることができたこと、内部成長(稼働率向上やコスト削減等)により前期及び予想を上回る1口当たり分配金を実現したことから、順調な運用成績を残すことができたと評価できる。
3. 財政状態
2017年4月期末の総資産は5物件(53億円)の新規取得により40,291百万円(前期末比17.0%増)と大きく拡大した。
一方、純資産も公募増資(2,224百万円)により19,389百万円(同13.8%増)に増加したことから、自己資本比率は48.1%(前期末は49.5%)とほぼ横ばいで推移した。
また、有利子負債も物件取得に伴って18,700百万円(同20.9%増)に増加したが、総資産LTVは46.4%と基本方針の範囲内(45%−50%)で低い水準を維持しており、財務基盤の安定性や今後の資金調達力に懸念はない。
なお、有利子負債に関しては、新規借入れ(33億円)及びリファイナンス(39億円)時に、長期・固定金利で調達したことにより、平均残存年数の長期化(前期末2.3年→3.4年)や金利の固定化(固定金利比率は前期末45.3%→67.4%)、返済期限の分散化、返済額の平準化を実現し、流動性リスクや将来的な金利上昇リスクを視野に入れた対策も行っている。
また、有利子負債はメガバンクなど既存7行に加えて、地銀2行からも借り入れており、バンクフォーメーションの間口も広げている。
4. 活動実績
(1) 外部成長
東京経済圏の5物件(オフィス2物件、商業1物件、住宅2物件)をスポンサーから合計53億円で取得した。
5物件の取得時平均鑑定NOI利回りは5.71%であり、基本方針(償却後のNOI4%台半ば~後半)を上回っていることはもちろん、取得競合の激化により利回り低下がみられる東京経済圏において相対的に高い利回りを確保したと評価してよいだろう。
この結果、ポートフォリオ全体の残高は約361億円に拡大するとともに、平均鑑定NOI利回りも6.10%と高い水準を維持、ポートフォリオの分散化(NOI上位5物件シェアは前期末51.1%→42.4%)も進展した。
(2) 内部成長
期末稼働率については、住宅物件の稼働率向上により98.4%(前期末比0.3ポイント増)と高水準を維持した。
退去面積は前期比で増加したものの、きめ細かいリーシング活動により、それを上回る入居契約を獲得したことが奏功した。
一方、賃料の状況については、新規契約78件及び解約76件があり、月間賃料は0.7百万円の増加となった。
また、更新対象件数177件のうち157件を更新(更新率89%)し、37件については増額更新に成功した。
(3) 物件価値維持に向けた投資
タイムリーな計画修繕及びバリューアップ工事の実施などCAPEX投資(資本的支出:2017年4月期は47.3百万円)により、資産価値の維持・稼働率の向上を図った。
なお、余剰資金については将来の投資に備えて信託預金等に積み立てている。
2017年4月期末の信託現金及び信託預金の残高は2,986百万円(前期末比19.5%増)に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
1. 上場からの業績推移
上場時(2014年11月27日)には12物件(取得価格合計174億円)であった資産規模は、2015年11月と2016年11月の2回の公募増資等による物件取得に伴い、2017年4月期末には23物件(取得価格合計361億円)と、まだ小規模ではあるものの、着実に拡大してきた。
また、「1口当たり分配金」についても、稼働率の向上や賃料改定等により、毎期、当初予想を上回りながら順調に伸びており、運用成績は好調に推移している。
2. 2017年4月期の業績
2017年4月期(2016年11月1日−2017年4月30日)の業績は、営業収益が1,616百万円(前期比20.8%増)、営業利益が791百万円(同23.1%増)、経常利益が658百万円(同21.2%増)、当期純利益が657百万円(同21.2%増)であった。
2016年11月の公募増資により5物件(53億円)を取得したことで大幅な増収増益を実現し、1口当たり分配金も3,592円(前期比6.6%増)と増加した。
また、業績予想に対しても上回る結果となっている。
2017年4月末の運用資産は23物件、取得価格合計は361億円(前期末比17.3%増)に拡大した。
業績予想との増減要因は以下のとおりである。
営業収益は、稼働率改善による賃料及び共益費収入の上振れに加えて、想定外のその他収入(原状回復工事収入や解約違約金収入)により予想を上回った(予想比51.9百万円増)。
なお、期末稼働率は、住宅物件の改善等により98.4%(前期末比0.3ポイント増)と高い水準で推移している。
一方、賃貸事業費用については、原状回復費の増加などがあったものの、水光熱費(電気代)の圧縮などにより予想以下に抑えることができた(予想比3.7百万円減)。
ただ、一括償却などの特殊要因があった減価償却費及びその他費用は予想を上回った(合わせて予想比13.0百万円増)。
それらの結果、当期純利益は予想比42百万円増となった。
以上から、2017年4月期の業績を総括すると、外部成長(物件取得)により資産規模の拡大を図り、ポートフォリオの安定性(上位物件依存度の軽減など)や運用の効率性を高めることができたこと、内部成長(稼働率向上やコスト削減等)により前期及び予想を上回る1口当たり分配金を実現したことから、順調な運用成績を残すことができたと評価できる。
3. 財政状態
2017年4月期末の総資産は5物件(53億円)の新規取得により40,291百万円(前期末比17.0%増)と大きく拡大した。
一方、純資産も公募増資(2,224百万円)により19,389百万円(同13.8%増)に増加したことから、自己資本比率は48.1%(前期末は49.5%)とほぼ横ばいで推移した。
また、有利子負債も物件取得に伴って18,700百万円(同20.9%増)に増加したが、総資産LTVは46.4%と基本方針の範囲内(45%−50%)で低い水準を維持しており、財務基盤の安定性や今後の資金調達力に懸念はない。
なお、有利子負債に関しては、新規借入れ(33億円)及びリファイナンス(39億円)時に、長期・固定金利で調達したことにより、平均残存年数の長期化(前期末2.3年→3.4年)や金利の固定化(固定金利比率は前期末45.3%→67.4%)、返済期限の分散化、返済額の平準化を実現し、流動性リスクや将来的な金利上昇リスクを視野に入れた対策も行っている。
また、有利子負債はメガバンクなど既存7行に加えて、地銀2行からも借り入れており、バンクフォーメーションの間口も広げている。
4. 活動実績
(1) 外部成長
東京経済圏の5物件(オフィス2物件、商業1物件、住宅2物件)をスポンサーから合計53億円で取得した。
5物件の取得時平均鑑定NOI利回りは5.71%であり、基本方針(償却後のNOI4%台半ば~後半)を上回っていることはもちろん、取得競合の激化により利回り低下がみられる東京経済圏において相対的に高い利回りを確保したと評価してよいだろう。
この結果、ポートフォリオ全体の残高は約361億円に拡大するとともに、平均鑑定NOI利回りも6.10%と高い水準を維持、ポートフォリオの分散化(NOI上位5物件シェアは前期末51.1%→42.4%)も進展した。
(2) 内部成長
期末稼働率については、住宅物件の稼働率向上により98.4%(前期末比0.3ポイント増)と高水準を維持した。
退去面積は前期比で増加したものの、きめ細かいリーシング活動により、それを上回る入居契約を獲得したことが奏功した。
一方、賃料の状況については、新規契約78件及び解約76件があり、月間賃料は0.7百万円の増加となった。
また、更新対象件数177件のうち157件を更新(更新率89%)し、37件については増額更新に成功した。
(3) 物件価値維持に向けた投資
タイムリーな計画修繕及びバリューアップ工事の実施などCAPEX投資(資本的支出:2017年4月期は47.3百万円)により、資産価値の維持・稼働率の向上を図った。
なお、余剰資金については将来の投資に備えて信託預金等に積み立てている。
2017年4月期末の信託現金及び信託預金の残高は2,986百万円(前期末比19.5%増)に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)