[ベルリン 3日 ロイター] - 2014年の香港「雨傘運動」でリーダーを務め、現在の逃亡犯条例改正を巡る抗議活動でも積極的な役割を果たしている黄之鋒氏らが、中国訪問を控えたドイツのメルケル首相に、警戒感を持って会談に臨むよう呼び掛けた。
黄氏らがメルケル首相に宛てた書簡を、4日付の独紙ビルトが公開した。
黄氏は書簡で「あなたは東ドイツで育ちました。独裁体制の恐怖をじかに経験しています。私たちは冷戦終結前にドイツや欧州を突き動かした、独裁的で不公平な体制に対する勇気と決意をあなたが見せてくれることを望んでいます」と期待を表明。
その上で「ドイツは中国とのビジネスを警戒すべきです。中国は国際法を守らず、約束を何度でも破るからです」と訴えた。
書簡には黄氏のほか、香港出身でドイツ在住の2人の芸術家も署名している。
共産党政権下の東ドイツで生まれ、1990年のドイツ再統一まで科学者をしていたメルケル氏は、ベルリンの壁崩壊を人生の重要な転機に挙げている。
香港の民主化活動家が掲げる理念は、ドイツで支持を得ている。メルケル氏は、香港の民主化運動や少数民族を抑圧する中国政府の対応に距離を置きつつ、ビジネス面ではパートナーとしての関係を維持するという難しいかじ取りを迫られている。