[シドニー 23日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した昨年12月の雇用統計は、就業者数が2カ月連続で予想を上回る伸びを記録し、失業率は9カ月ぶりの水準に改善した。好調な内容を受け、オーストラリア準備銀行(中銀)が短期的に利下げを見送る可能性が高まった。
中銀が次回2月4日の会合で利下げを実施するとの観測が後退し、豪ドル
12月の就業者数は前月比2万8900人増と、予想の1万5000人増を上回った。11月は3万8400人増だった。
失業率は5.1%に小幅に改善し、昨年3月以来の低水準を記録した。予想は5.2%だった。
ただ、就業者数の増加分はすべてパートタイムで、フルタイム就業者数は300人減少した。
コモンウェルス銀行(CBA)やオーストラリア・アンド・ニュージーランド(ANZ)銀行、シティなど複数の銀行のアナリストは2月には利下げが行われないとの見方を示した。ただ、ある時点での利下げを依然として予想している。
CBAのシニアエコノミスト、ギャレス・エアード氏は12月の雇用統計について「底堅い」とし、「労働市場は引き続き経済活動のデータとは逆の内容になっている」との見方を示した。そのうえで「利下げが打ち止めかどうか判断するのは時期尚早だが、われわれは2月利下げの予想を排除し、4月に後ずれさせた」と語った。
金融市場<0#YIB:>が織り込む2月の25ベーシスポイント(bp)利下げの確率は、雇用統計公表前の50%から20%に低下した。5月までに政策金利が0.5%に引き下げられる確率は統計公表前の約100%から78%に低下したが、なお高い確率が織り込まれている。
キャピタル・エコノミクスのシニアエコノミスト、マーセル・ティーリアント氏は「現在の賃金の伸び率は中銀の物価目標達成に不十分な水準なため、2月に利下げを決める可能性はまだある」と指摘。「ただ、労働市場の供給余力は解消されつつあるため、差し迫った利下げの必要性は後退している」とした。
失業率の改善は、国内で広がる森林火災への対応で批判を浴びているモリソン政権にとっては安心材料になるとみられる。
*内容を追加しました。