[ワシントン 23日 ロイター] - トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る米議会上院での弾劾裁判は23日、民主党による2日目の冒頭陳述を行い、下院司法委員会のナドラー委員長が共和党のリンゼー・グラム上院議員の過去の弾劾審議での発言などを引き合いに出しトランプ大統領の行為は弾劾に値すると主張した。ただ共和党議員の中から造反の動きは出ていない。
ナドラー委員長はグラム議員が民主党のクリントン元大統領に対する1999年の弾劾審議で行った発言のビデオを議場で再生。ビデオでグラム議員は、問題の行動が法律上の犯罪行為でなかったとしても大統領を弾劾することはできると主張している。
ナドラー氏はこのほか、トランプ氏の弁護団の一員のアラン・ダーショウィッツ氏の1998年の発言を収録したビデオも再生。ビデオの中でダーショウィッツ氏は「権力乱用」は弾劾の根拠になるとの見解を示している。
ナドラー氏は「弾劾は犯罪行為に対する処罰ではない」とし、「弾劾は政治システムに対する脅威に対応するために存在しており、対象は政治的な当局者のみで、禁錮刑や罰金を課すのではなく、政治権力を剥奪することで対応される」と指摘。「トランプ大統領の行為は米国第一主義ではない。ドナルド・トランプ第一主義だ」と批判した。
上院民主党のチャック・シューマー院内総務は前日に始まった冒頭陳述について、「力強く」、「正確」で、「破壊的」であると評価。共和党議員に対し改めて証人の招聘のほか、新たな証拠の提出に合意するよう呼び掛けた。
この日の民主党による冒頭陳述は予定される3日間のうち2日目。その後、共和党の反論にも3日間が割り当てられており、25日にも開始される可能性がある。ただトランプ氏の弁護士、ジェイ・セクロー氏は3日間も必要あるかはまだ分からないとし、最短で6時間で終了する可能性があることを示唆した。