[ワシントン 29日 ロイター] - トランプ米大統領のウクライナ疑惑に関する弾劾裁判は29日、陪審員役を務める上院議員による質疑が始まった。共和党の議員らは、民主党が求めている証人招致は受け入れず、週内に「無罪評決」を出して結審する可能性を示した。
共和党のジョン・バラッソ上院議員は「31日に最終判断を出す方向に状況は明確に進みつつある。評決は31日になるだろう。質疑への応答を聞きたいとする議員もまだ数名いるが、方向性は出ている」と述べた。
証人招致を巡る採決をいつ行うのかという問いには、31日の午後か遅くになる可能性が高いと述べた。
29日の審理の間に取材に応じた他の共和党上院議員も同様の見通しを示した。共和党が多数派を占める上院は、無罪評決を出すと見込まれてきた。
民主党側は、ウクライナ疑惑を裏付ける暴露本を出版するとされているボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らの招致実現に必要な票を確保するため、共和党議員の説得を続けてきた。共和党から4人以上が賛成に回れば証人招致が可能になるとみられていた。
民主党のクリス・クーンズ上院議員は、民主党は攻防に負けたかとの問いに「何らかの結論が出たかどうかは分からない」としながらも、上院議員による質疑や声のトーンは期待を高めるものではなかったと語った。
<トランプ氏、ボルトン氏を再び批判>
トランプ米大統領はこの日、ボルトン氏をあらためて批判。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、ボルトン氏は著書の草稿で、ウクライナがバイデン前副大統領と息子の調査に協力するまで同国への軍事支援を凍結したいとの意向をトランプ大統領から伝えられたと言及している。[nL4N29W01U]
トランプ大統領はツイッターへの投稿で、ボルトン氏は「何年も前に国連大使に承認されず、その後もどのポストにも承認されなかった。そのため、上院の承認が必要ない職を私に『懇願』してきた」とし、「彼の望みを聞いていれば、今ごろ第6次世界大戦に突入していただろう」とやゆした。
さらに、昨年9月に大統領補佐官を退任した後「すぐさま、不快で虚偽の本を執筆している。すべて安全保障上の機密情報だ。誰がこんなことをするだろうか」と批判した。
<大統領権限巡り弁護側が見解>
質疑応答で、トランプ大統領の弁護団のメンバー、アラン・ダーショウィッツ氏は大統領権限について詳細に論じた。
「大統領が国民の利益のため、選挙で当選するのに役立つと考えて何かを行った場合、弾劾につながるような見返りを求める行為とはみなされない」と主張。
トランプ氏は権力を乱用し、軍事支援の見返りに政敵のバイデン前副大統領を調査するようウクライナに圧力をかけた疑いで弾劾訴追された。
民主党のメイジー・ヒロノ上院議員はダーショウィッツ氏が示した見解について記者団に「これまで聞いたなかで、最も奇妙な回答の1つだった」と不快感を示した。
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