[ロンドン 1日 ロイター] - ジョンソン英首相は、欧州連合(EU)との通商交渉でEUに譲歩を迫るため、EUからの輸入品に対する通関手続きや国境での検査を来年から全面実施する準備を進めている。1日の英紙デーリー・テレグラフが報じた。
同紙によると、政府筋は「われわれはEUからの輸入品の完全な検査を計画している。輸出申告、安全面の申告、動物検疫のほか、スーパーの購入品も国境検問所を通過する必要がある」と述べた。
「国境での実際的な作業が2021年1月に倍増することになる」とした。
昨年時点の政府の計画では、英国が合意ないままEUを離脱した場合でも、検査対象となる輸入品は一部に限定されるとみられていた。
英国は31日にEUから離脱し、年末までの移行期間に入った。ジョンソン首相は移行期間中にカナダ・EU間の自由貿易協定(FTA)のような合意をEUと結ぶことを目指している。
同紙によると、英国の交渉団は、合意がまとまらない場合に検査を強化する構えを示すことで、EU側に英国の求める条件を受け入れるよう促せると期待している。
英首相府の報道官は同報道について問われ、変化は避けられないと指摘。「英国はEUの関税同盟と単一市場を離脱する。つまり、企業は離脱後の世界に備える必要がある」と述べた。
一方、英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長は、英政府は移行期間後の港経由の自由なモノの移動を優先課題にすべきだと主張。
「新たな手続きの追加や遅延ごとにコストは増える。新たな要件に適応するための金銭的な負担によって職業訓練や機器、新規顧客の獲得のための資金が減ることになる」と強調した。