[ロンドン 12日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)は12日に公表した月報で、今年の世界的な原油需要の伸びの見通しを下方修正した。中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大の影響で需要減が予想されるためとしている。
OPECは今年の原油需要の伸びは日量99万バレルになると予想。増加幅は従来見通しから日量23万バレルの下方修正となる。
このほか、今年のOPEC産原油の需要は平均で日量2930万バレルになるとし、従来見通しから日量20万バレル下方修正した。
OPECは「新型ウイルスの感染拡大が中国経済に及ぼす影響により、今年の世界経済を巡る不確実性が増大し、その結果、世界的な原油需要の伸びも影響を受ける」とし、「現時点で中国で起きていることは継続的な監視と検証が必要だ」とした。
OPEC加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は昨年12月、日量170万バレルの協調減産を今年3月末まで実施することで合意した。ただ新型ウイルスの感染拡大で原油需要の減退が予想される中、OPECプラスの合同専門委員会(JTC)は先週、協調減産規模を暫定的に日量60万バレル拡大することを提案。OPECプラスは3月5─6日に予定されている閣僚会議を月内に前倒しすることを検討しているが、現時点では何も決定されていない。
北海ブレント先物 (LCOc1)はOPEC月報の公表を受けやや上昇し、1バレル=56ドルに近づいた。ただ年初からは約15%下落しており、今回のOPEC月報は減産幅拡大の論拠となる可能性がある。
OPECは今回の月報で、非加盟国の今年の産油量は日量225万バレル増えると予想。増加幅を従来見通しから日量10万バレル下方修正した。
OPECプラスが世界的な供給過多の解消に向け2017年から実施している協調減産で原油価格が持ち直したことを受け、米国のシェールオイルなどOPEC域外の産油量が増加。今回の下方修正を受けても非加盟国の産油量は今年の世界需要の倍のペースで伸びると予想されており、OPECプラスにとって先行き困難が予想される。
OPEC加盟国の1月の産油量は、自主的な減産のほかリビアの産油量の減少が要因となり、日量2886万バレルと50万9000バレル減少。加盟国に今年要請されている平均水準を下回った。
一方、ロシアの1月の産油量は暫定値で平均日量1149万バレルと、日量2万バレル増加した。
OPEC加盟国が1月のペースで供給を続け、他の条件が一定だったと仮定すると、今年は日量44万バレルの供給不足が発生する計算になり、供給不足の幅は前回の月報で示された水準から拡大した。
*写真を差し替えました。