[シンガポール 10日 ロイター] - アジア時間の原油先物は6%超上昇。前日はサウジアラビアとロシアによる価格競争の勃発を受けて1991年の湾岸戦争以降で最大の下落率を記録したが、価格競争は持続しないとの見方からやや値を戻している。
原油価格の急落を受け、米シェールオイル生産企業が設備投資の抑制を加速させており、将来の生産削減につながる可能性もある。
北海ブレント先物 (LCOc1)は0115GMT(日本時間午前10時15分)時点で2.31ドル(6.7%)高の1バレル=36.67ドル。米WTI先物 (CLc1)は1.79ドル(5.8%)高の32.92ドル。
ブレント、WTIともに前日は2016年2月以来の安値を付け、1991年1月17日以来の大幅な下落率を記録した。
プロビス・グループのジョナサン・バラット最高投資責任者(CIO)は「業界のレバレッジを考慮した場合、約30ドルの価格では採算が取れない」と指摘。「サウジや他の中東産油国は予算が制約されている。ロシアもキャッシュが不足している。損益分岐点は1バレル=50ドル前後のはずで、彼らはある時点で合意するだろう」との見方を示した。
ただ、新型コロナウイルスの世界的な流行が原油需要の下押し圧力となるなか、アナリストは価格が早期に回復する可能性は低いとみている。
バーンスタイン・エナジーのアナリストは調査ノートで「原油価格が限界費用を下回って推移することはほとんどないが、上半期に在庫が積み上がる見通しであるため、原油価格の反発を見込むのは難しい状況だ」とした。
サウジとロシアが増産の構えを示すなか、国際エネルギー機関(IEA)は9日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた世界的な経済活動の停滞で、今年の世界原油需要は2009年以来初めて減少に転じるとの見方を示した。
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