[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるために導入した国民向けの行動指針を解除し、経済活動を再開するための計画を近くまとめると表明し、一部の州では5月1日より前に経済活動を再開できる可能性が高いとの見解を示した。
ホワイトハウスで会見したトランプ大統領は、州知事らに対し、それぞれの州で経済再開計画を適切な時期に実行に移す「権限を与える」方針を示した。ただ、一部の専門家は、大統領にそうする権利はないとして疑問を呈している。
トランプ大統領は、恐らく16日に50州すべての知事とビデオ会議を開き、計画について話をすると述べた。
米政権の新型コロナ対策チームは、新型コロナ感染拡大防止のために、4月末を期限にソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)などの行動指針を全米で導入しているが、一部の州が先行して経済活動を再開すれば、この行動指針に逆行することになる。
11月3日の大統領選挙での再選を目指すトランプ氏は、感染率の低い州は早期に経済活動を再開できるとの考えを示した。
「一部の州知事は(4月末よりも)先に経済を再開できる良好な状況にある。もっと時間をかけなければならない知事もいる」と述べた。
トランプ大統領は当初、4月半ばのイースターまでに経済再開にこぎつけたい意向だったが、新型コロナ感染者や予想される死者数が急増したためにこれを断念し、行動指針の期限を4月末まで延長した経緯がある。医療関係者からは、4月末でも早過ぎるのではないかと疑問視する声があがっている。
米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は14日、米経済活動を5月1日に再開するというトランプ大統領の目標は「やや楽観的過ぎる」との認識を示した。
トランプ大統領は13日、米経済活動の再開時期は各州の知事ではなく、自身が決定すると表明。
これに対し、特に感染状況が深刻なニューヨーク州のクオモ知事は14日、CNNのインタビューで「トランプ大統領が私の州の市民の公衆衛生を脅かす方法で経済再開を命じれば、私は従わない」と反発した。
トランプ大統領は、州に経済再開を強要することはなく、それぞれの州が独自に計画をスタートさせる日程を決められるとの考えを示唆した。