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アングル:トランプ氏の駐独米軍削減方針、一部高官にも予想外の動き

発行済 2020-06-09 14:59
更新済 2020-06-09 15:00

[ワシントン 8日 ロイター] - トランプ米大統領によるドイツ駐留米軍削減の決定は国家安全保障担当の複数の高官にとって予想外の動きだった。事情に詳しい5人の関係筋が明らかにした。国防総省にはまだ駐独米軍削減の正式な命令は出ていないことも明らかになった。

複数の米政府当局者が5日、明らかにしたところによると、トランプ大統領はドイツに駐留している米軍3万4500人のうち約9500人の削減を決めた。[nL4N2DI3PM]

この当局者は、削減は米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長がこれまで検討してきたことで、トランプ氏による主要7カ国首脳会議(G7サミット)の6月開催計画を頓挫させたメルケル独首相との緊張の高まりには全く関係ないと説明。

ただ、別の複数の関係筋は、ホワイトハウス、国務省、国防総省の複数の高官はドイツ駐留米軍の削減決定に意表を突かれたと明らかにし、削減を決めるに至った理由としてG7を巡るトランプ氏の怒りやリチャード・グレネル前駐独米大使の影響を挙げた。

ロイターは、トランプ氏の決定にグレネル氏の直接的な関与があったかどうかは確認できなかった。国務省の報道官によると、同氏は6月1日に駐独大使を退任した。

国防、国務の両省は取材に対し、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)に問い合わせてほしいと回答。NSCはコメントを控えた。

グレネル氏にコメントを求めたところ「全くのゴシップだ」と回答し、削減の決定や自身の果たした役割に関する具体的な質問には直接答えなかった。ドイツ駐留米軍の削減は「昨年から計画されていた」と述べた。

そのうえで、ドイツが国内総生産(GDP)の2%を防衛費に回すという北大西洋条約機構(NATO)の目標を達成していないことへの米国の不満を強調し、ストルテンベルグNATO事務総長がドイツは同目標の達成に向けた信ぴょう性のある計画を出していない唯一の国だと述べたと明らかにした。

ストルテンベルグ氏は8日、米シンクタンクのアトランティック・カウンシル主催のオンラインイベントに参加した際、米国によるドイツ駐留米軍の削減計画について問われ「メディアのリークや観測」についてはコメントしないと応じた。

ある米政府の当局者は匿名を条件にロイターに対し、国防総省は駐独軍削減について正式な命令を受けておらず、同省の一部の当局者は不意を突かれ、同計画の対独関係への意義や影響を見極めようと急いでいると明らかにした。

事情に詳しい2人の関係筋によると、軍削減計画が最初に5日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に報じられた際、ドイツは事前に相談を受けていなかったという。

<非協調的行動への制裁か>

ホワイトハウスはドイツ駐留米軍を削減する方針を正式に確認していない。

事情に詳しいある議会筋は、メルケル首相が新型コロナウイルスの流行を理由にG7サミットへの出席をためらっていることがトランプ氏の決定を促した要因の1つだと語った。

「当初は非常に高いレベルでのみで協議され、彼(グレネル氏)も関与していた。非常に厳重に隠されていた」と指摘。ただ、メルケル首相が新型コロナを理由にG7への出席を取りやめたことにトランプ氏が「腹を立て」、決定が加速したという。

駐ポーランド米大使のジョーゼット・モスバッハー氏とグレネル氏は昨年8月に公の場で、トランプ氏が一部の軍をドイツから撤収する可能性があると警告し、メルケル氏が防衛費増額へのトランプ氏の呼び掛けに応じなければ、削減した軍をポーランドに振り向ける可能性を示唆した。

米政府の元高官は匿名を条件に「駐独米軍の一部がポーランドに振り向けられれば、ドイツにとどめを刺すも同然だ」と指摘。「彼ら(グレネル氏とモスバッハー氏)から見ればドイツは協調的でなかったので、制裁を科されるべき存在だった」とした。

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