[サンフランシスコ 11日 ロイター] - 米規制当局が委託した気候変動に伴う金融市場へのリスクに関する報告書が7月にまとまる見通しとなった。報告書の準備を担う特別委員会のトップが11日、明らかにした。報告書には連邦政府による監視に関する具体的な政策提言が盛り込まれるという。
35人で構成される特別委員会のトップ、ボブ・リッターマン氏は「報告書の狙いは、この非常に重要なリスク管理の問題への対応が急務であることを誰もが認識することだ」と語った。委員会は昨年、気候変動が金融市場の安定にもたらす脅威について調査するため、米商品先物取引委員会(CFTC)が設置した。
リッターマン氏は6月に報告書の完成を見込んでいたが、新型コロナウイルスの感染拡大で公表の日程が遅れた。
同氏は、国民や政府の関心事がここ数カ月は新型コロナ、現在は人種差別問題に集中していることに言及し、報告書が入り込む余地が非常に狭まっているのは間違いないとの認識を示した。
ただ、報告書の作成には、リッターマン氏がかつて在籍していた米ゴールドマン・サックス (N:GS)や、英石油大手BP (L:BP)、米国の環境防衛基金、生乳生産者協同組合のDFAなど幅広い業界が関わっており、報告者が注目されないという懸念はないという。
リッターマン氏は報告書の内容には言及しなかった。
同氏は「われわれは皆、適切なインセンティブが必要であることを認識している。インセンティブは資本配分の鍵となる」と指摘。規制当局が炭素税など、地球温暖化につながる二酸化炭素の排出を抑制するインセンティブを導入すれば、金融市場の反応は急で大幅なものになる可能性があると述べた。