[16日 ロイター] - 米政府は16日、政権の内幕を描いたボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の著書の出版差し止めを求めて訴訟を起こした。機密情報が含まれているため、出版すれば国家安全保障を危険にさらすと主張している。
著書のタイトルは「The Room Where It Happened: A White House Memoir」で、今月23日に出版予定。トランプ大統領は15日、同著書の出版は違法だと述べていた。
政府は訴状で、国家安全保障会議(NSC)が「現状の原稿には国家安全保障に関わる機密情報を含む部分があり、それが数段落に及んでいる箇所もあると結論付けた」としている。
その上で、出版すれば「取り返しのつかない損害が生じる。原稿で触れられている機密情報が開示されれば、米国の安全保障に深刻な打撃もしくは極めて重大な打撃が生じると合理的に想定できる」と主張した。
ボルトン氏の弁護士チャールズ・クーパー氏は、訴状を精査しているとし、適切な時期に対応を明らかにすると述べた。
ボルトン氏は約17カ月間大統領補佐官を務め、昨年9月にトランプ氏に解任された。
トランプ氏は前日、ボルトン氏について、現役中に機密情報に触れた政府高官が辞任後に著書を出版する際に必要な認可手続きを終えていないとの認識を示していた。
バー司法長官は、司法省がボルトン氏に認可手続きを完了し、「必要とされている機密情報の削除」を行うよう要請していると説明した。
出版元の米サイモン&シュスターは提訴について、トランプ政権は「大統領にとって不都合とみなす著書」の出版を阻止しようとしていると批判し、ボルトン氏はNSCによる事前審査に完全に協力してきたと強調した。
同社の12日のニュースリリースによると、ボルトン氏の著書はトランプ大統領の中国やロシア、ウクライナ、北朝鮮、イラン、英国、フランス、ドイツなどとのやり取りに触れるほか、トランプ氏の「一貫性に欠く政策決定プロセス」を浮き彫りにする内容。「トランプ大統領が皆に読んでほしくない本」だとした。
*内容を追加しました。