[東京 23日 ロイター] - 自民党の甘利明税調会長は22日、ロイターとのインタビューで「新型コロナウイルスからの復興に向けて、秋に本格経済対策を打つ予定」だと述べた。第1・2次補正予算は生活や事業の破綻を回避するためのものであり本格的な経済対策を打ち出せていないとの認識を示し、できる範囲の規模を探りつつ3次補正予算を編成していく考えを明らかにした。また、対策発表後には「安倍晋三首相が、衆院解散を行う可能性はゼロではない」とも指摘した。
<デジタル化で競争力強化を、財政再建の議論は先送り>
3次補正予算としての経済対策の内容については甘利氏は、新型コロナ感染対策を行いつつ経済活性化をどう進めていくがテーマとなるとみる。中でも「コロナ禍での世界は一斉にデジタル・トランスフォーメーションに舵を切ることになり、新たな国際秩序が走り出す」と、デジタル化の重要性に言及した。
ただし、これからは中国による国家監視システムと欧米流の人権プライバシー重視の資本主義との対立が激しくなると指摘し、「ぼやぼやしていると、ISO(国際標準化機構)認証における中国の国家監視システムが標準化されかねない」と警戒感も示した。
また、コロナ対策により歳出規模も東日本大震災時とは桁が異なると指摘。財政状況が大幅に悪化している中での財政再建については「PB(基礎的財政収支)論は、たいぶ先にもっていかねばいけない」」として、当面は財政再建の議論は先送りされるとの認識を示した。
<世論割れるくらいなら首相4選という考え方も>
「ポスト安倍」を巡る自民党総裁選については、「安倍首相は自ら次もやりたいということは言わない。ただ周囲が『あなたしかいない』と言うような、追い詰められた状況になれば、犠牲的精神でやるかもしれないが、しかし本人は自分からやりたいと思わない」との見方を示した。
その上で「安倍首相としては来年9月末まで任期を全うしたいということだろうが、党内には、その際きれいに自民党総裁選ということになるのかどうか、日本が真っ二つに割れるような状況になるのなら、『まとめるためにあなた(安倍首相)がやってください』となるのではないかという考えもある」と述べた。
(中川泉 金子かおり 編集:田中志保)