[ロンドン 6日 ロイター] - 中国の劉暁明・駐英大使は6日、「香港国家安全維持法」を巡り英国は無責任な発言を繰り返しているとし、英国の対応は中国の内政への「重大な干渉」だと批判した。
英政府は香港国家安全維持法について、1984年の中英共同声明への「明白で深刻な」違反と非難し、英国海外市民旅券(BNO)を保有する香港市民に対し英市民権取得への道を開く方針を示している。
劉大使は記者会見で「英政府は香港の問題に関し無責任な発言を繰り返している」と述べ、市民権を巡る案は「中国の内政への重大な干渉であり、外交の基本的規範をあからさまに踏みにじるものだ」と非難。この提案を英政府がどのように進めるかを見極めた上で中国としての対応を決定すると述べた。
ラーブ英外相はメディアのインタビューで劉大使のコメントに反論。中国は香港市民の自由を保障する中英共同声明に署名することを自ら選んだとし、「信頼の問題であり、世界中の多くの国が、中国は国際的な義務を果たすだろうかと疑問に思っている」と述べた。
劉大使は、英国が今後、次世代通信規格「5G」通信網から華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL] を排除する決定を下せば、中国企業に対し「非常に悪いメッセージ」を送ることになるとも警告した。
ジョンソン英首相は1月、ファーウェイの5G通信網参入を限定的に容認したが、米国や一部の英議員からは、安全保障上の懸念を考慮し同社の参入を禁止するよう圧力を受けている。また、英メディア相は6日、ファーウェイに関する決定は不変ではないと発言した。
劉大使は、英国との友好的な関係を中国は望んでいるとしながら、「中国を敵対的な国にしたければ報いを受ける必要がある」とけん制。
ファーウェイを巡る決定を反転させれば、親ビジネスの開かれた国という英国のイメージは損なわれるとし、「中国の経済界は英国のファーウェイ対応を注視している。ファーウェイを排除すれば他の中国企業に非常に悪いメッセージを送ることになる」と警告した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200706T222410+0000