[ジュネーブ 6日 ロイター] - 2020年1月、米軍が無人機攻撃でイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官ら10人を殺害したことについて、国連人権調査官は7月6日、国際法違反との見解を示した。
超法規的・即決・恣意的殺害に関する国連特別報告者として、この問題を調査したアグネス・カラマール氏は報告書で、米国はソレイマニ司令官の車列への攻撃を正当化するような、米国の利益への攻撃が続いている、あるいは差し迫っていることを示す十分な証拠を出せなかったと指摘。米軍による攻撃は国連憲章違反だとした。
また、武装無人機による標的型殺人の説明責任を追及するとともに、こうした兵器の規制強化を呼び掛けた。
カラマール氏はロイターに対し、「世界は無人機の使用において、転換点となり得る重要な局面にある。(この件に関して)安保理は機能しておらず、国際社会は好むと好まざるとにかかわらずおおむね沈黙している」と語った。
同氏は9日に調査報告書を国連人権理事会に提出し、メンバー各国は対応を協議する予定。米国は2年前に同理事会のメンバーから外れている。
米政府は、ソレイマニ司令官が中東で民兵組織による米軍への攻撃を指揮していたと主張していた。
カラマール氏は報告書で、「ソレイマニ司令官はイランの軍事戦略やシリアとイラクにおける作戦行動を統括していた。だが、実際に人命への差し迫った脅威は存在せず、米軍の取った行動は非合法だ」と指摘した。