[エレバン/バクー/アンカラ/モスクワ 5日 ロイター] - アルメニア人が実効支配するアゼルバイジャン南部のナゴルノカラバフ自治州で続く交戦は9日目に入り、アルメニアとアゼルバイジャン両国は5日、一般市民の居住地区を攻撃しているとして互いに相手側を非難した。
アゼルバイジャンのアリエフ大統領は、将来的に停戦合意が得られれば、ナゴルノカラバフの和平プロセスにトルコが関与する必要があると表明。トルコを訪問中の北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、ナゴルノカラバフ地域を巡る紛争に「軍事的な解決はない」とし、停戦を呼び掛けた。
ただ、トルコのチャブシオール外相はストルテンベルグ事務総長との共同記者会見で、アゼルバイジャンは失った領土を取り戻そうとしているとし、NATOはアルメニアに軍の撤退を呼び掛ける必要があると指摘。戦闘が激化する中、事態が収拾する気配は見られない。
ナゴルノカラバフの当局者は中心都市ステパナケルトとシューシをアゼルバイジャン軍がロケット弾で攻撃していると述べた。アルメニア国防省の報道官は緊迫した戦闘が行われていると指摘した。
一方、アゼルバイジャンはアルメニア軍がナゴルノカラバフ以外の地域にミサイルを発射したと非難している。人口密度の高い地域や民間インフラを標的にしているという。
アゼルバイジャン国防省はレーダーによる情報として、アルメニア国内からミサイルが発射されていると指摘。同省高官は「アルメニア軍がアゼルバイジャンの軍事拠点を攻撃しているという情報はうそで完全な誤りだ」と述べた。
ナゴルノカラバフ当局によると、9月27日の紛争勃発以来、兵士223人が死亡。民間人19人が死亡したことも明らかにした。アゼルバイジャン検察当局によると、これまでに民間人25人が死亡、127人が負傷した。アゼルバイジャンは兵士の死亡数は公表していない。
アルメニアとアゼルバイジャンに対し、これまでに欧州連合(EU)と米国のほか、ロシアやフランスなどが停戦を呼び掛けているが、事態に改善は見られない。この日はイランが停戦を仲介する意向を表明したが、具体策は明らかにしなかった。
*内容を追加しました。