[メルボルン 13日 ロイター] - オーストラリアのモリソン首相は13日、中国がオーストラリア産の石炭の輸入を停止したとのメディア報道を調査していると明らかにした。中国が国内市場を保護するために輸入枠を設けるのは「珍しいことではない」と指摘した。
モリソン氏は記者団に「中国も自国の石炭産業があり、政府が生産と雇用を守るために輸入枠を設けるのは珍しいことではない」と述べた。
その上でバーミンガム貿易・観光・投資相が調査していると明らかにした。
バーミンガム氏は豪テレビ局の番組で、政府は中国側からの説明を求めているとした上で、中国への石炭輸出は中国国内の要因などでここ数年影響を受けていると語った。
IHSマークイットが10月8日に報じたところによると、中国遼寧省のハツ魚圏区など複数の港湾当局はバイヤーに対して、10月1日以降オーストラリア船は貨物の陸揚げや決済手続きを拒否されると通達した。
バーミンガム氏は「現地の石炭業界と連絡を取っており、この件に関して中国側からの確認を求めている」とした上で「石炭は引き続き豪輸出の重要な部分であり、地域全般にわたり多くの国で重要なエネルギー源だ」と説明した。
昨年の豪石炭輸出は550億豪ドル(395億2000万米ドル)で、鉄鉱石に次いで2番目に規模が大きかった。
ANZのアナリスト、ダニエル・ハインズ氏はリポートで「中国当局による国内市場支援の新たな取り組みだ」と指摘。「従って中期的に影響を及ぼすものではない。しかしプレミアム強粘炭の価格を圧迫する。バイヤーは慎重に行動しており、混乱の中で積み荷をさばくのに時間がかかっている」と分析した。
一方、複数のトレーダーとアナリストは政治的状況を巡る中国のオーストラリアに対するいら立ちが背景にあるとの見方を示している。
*内容を追加しました。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20201013T021745+0000