[バクー/エレバン 26日 ロイター] - ナゴルノカラバフ地域の帰属を巡って争うアゼルバイジャンとアルメニアは、26日に発効した米国仲介の停戦後も互いに対する攻撃を続けている。紛争解決に向け各国は努力を続けるが、和平が達成するか先行きは見通せない。
アゼルバイジャンとアルメニアは25日、10月10日以降で3度目となる停戦で合意した。停戦は26日午前8時(日本時間同日午後1時)に発効したが、直後に両国は、それぞれ攻撃を受けたと発表した。
アゼルバイジャン国防省によると、アルメニア軍が停戦発効直後に係争地付近の複数の村を砲撃した。ナゴルノカラバフの当局者はこれを否定している。
係争地のアルメニア系住民トップは、アゼルバイジャン軍が攻撃を再開したと主張している。
アゼルバイジャンのアリエフ大統領はテレビ演説で「政治的・軍的手段による」紛争解決を望んでいると表明した。
アルメニアのパシニャン首相は、アゼルバイジャンは紛争の平和的解決に関心がないと批判。「アルメニア国民は、たとえそれが痛みを伴うものであっても互譲の用意がある。ただ、互譲はカラバフの降伏のためではない」と強調した。
9月27日に始まった軍事衝突は、南コーカサス地域における紛争としては90年代以降で最悪の事態となっている。これまでロシア仲介による2度の停戦も失敗に終わった。
世界の主要国はナゴルノ紛争が、アゼルバイジャンへの強力な支持を表明しているトルコと、アルメニアと防衛協定を結んでいるロシアを巻き込んでさらに悪化する事態を警戒している。紛争はアゼルバイジャンから欧州など各国に石油やガスを輸出するパイプラインの近くで続いており、トルコと北大西洋条約機構(NATO)加盟国との関係にも影響を及ぼしている。
フランス、ロシア、米国が主導する紛争解決を仲介する欧州安保協力機構(OSCE)ミンスクグループは、25日の停戦協議に参加した。10月29日にジュネーブで再びアルメニアおよびアゼルバイジャンの外相と協議する予定となっている。