[サンティアゴ 26日 ロイター] - 南米チリでは25日の国民投票で、ピノチェト軍事政権下に制定された憲法に代わる新たな憲法制定が決まった。今後、医療や年金、教育における格差是正を新憲法にどのように反映するか議論を行い、制定手続きを進める。
25日の国民投票では、78%が新憲法制定を支持。新憲法の起草については、80%が男女構成比率を同じにした市民の団体が担うことに賛成票を投じた。
新憲法の制定は長い道のりとなる。制憲代表者を決める選挙は来年4月に行われ、最長2年かけて草案を策定し、3分の2以上の賛成で承認されれば、それが国民投票にかけられる。
フィッチ・レーティングスとムーディーズ・インベスターズ・サービスは、長期におよぶ新憲法制定手続きが、2019年に激化した抗議デモや新型コロナウイルス感染拡大で既に高まっている先行き不透明感をさらに深刻化する可能性があると指摘している。
フィッチは「新憲法制定のプロセスやそれに関連した今後2年の何度かの選挙で国内政治を巡る不透明感が増し、投資や景気回復見通しに影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
新憲法では、先住民マプチェ族の認知、団体交渉力、水・用地関連の権利、ヘルスケア、教育、年金などの問題が焦点となり、議論される見通し。
市場参加者やアナリストの大半は、チリが1990年代に民主主義国家に戻って以降、国内経済成長を後押ししてきた自由市場や中銀の独立性などの点は新憲法にそのまま盛り込まれると考えている。
(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)