[ニューヨーク 30日 ロイター] - 暗号通貨(仮想通貨)ヘッジファンドが今年、好調な運用成績を記録している。貸し手と借り手が銀行を介さずに取引を行うケースが急増していることや、ビットコインの着実な値上がりが背景だ。
暗号通貨ファンド・オブ・ファンズのビジョン・ヒル・グループが2018年9月に算出を開始した暗号通貨ヘッジファンド指数によると、2020年のリターンはプラス126%。
ファンド評価会社バークレイヘッジによると、非暗号通貨ヘッジファンドの運用成績もプラスだが、9月までのリターンはプラス1.70%にとどまっている。
ビジョン・ヒルの創業者であるスコット・アーミー最高経営責任者(CEO)によると、銀行を介さずに融資ができる「分散型金融(DeFi)」の登場が、今年の運用成績の向上に大きく寄与している。
業界サイト「DeFiパルス」のデータによると、DeFiプラットフォームで行われた融資は29日時点で総額111億ドル。8月の約40億ドルから180%増えている。
DeFiのサイトは、オープン・インフラストラクチャーで運営されており、需給に基づいてリアルタイムで金利を設定するアルゴリズムが使われている。
DeFi分野に多額の投資をしている1億ドル規模のベンチャーキャピタル・ファンド、フレームワーク・ベンチャーズは、DeFiが近く主流になると予想。
同社の共同創業者マイケル・アンダーソン氏は「ユーザーは自分の資金を投じて、DeFiの将来性に信任票を投じている」と指摘。一部のDeFiプラットフォームは、大規模なデジタル資産取引所よりも取引量が多いという。
一方、暗号通貨の価格上昇を主導しているビットコインが、今年80%以上値上がりしていることも、ヘッジファンドの運用成績改善の一因となっている。
オフ・ザ・チェイン・キャピタルは、年初来のリターンがプラス94%。2016年の設立以降の年間平均リターンはプラス112%。同社は、仮想通貨取引所「マウント・ゴックス」の2014年のハッキングで被害を受けた投資家からビットコインの債権を安値で買い取ったという。最高投資責者のブライアン・エスティーズ氏が明らかにした。
デジタル・ファイナンス・グループUSAのテリー・カルバーCEOは、暗号通貨市場が成熟しており、さらに多くのイノベーションが起きていると指摘。「3-4年前と比べると、投機的な性格が弱まっている」と述べた。