[11日 ロイター] - 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は11日、米製薬大手ファイザー (N:PFE)とドイツ製薬ベンチャーのビオンテック (O:BNTX)が共同開発する新型コロナウイルスの予防ワクチンについて、保管に超低温の温度管理が必要なため、発展途上国への供給体制が大きな課題になるとの認識を示した。
ファイザーとビオンテックは9日、開発中の新型コロナワクチンの臨床試験(治験)で有効性が9割に達したと公表した。
ただ、このワクチン候補は「メッセンジャーRNA(mRNA)」という免疫システムに働きかける物質を使っており、セ氏マイナス70度程度での保管が必要。
ファウチ氏は、フィナンシャル・タイムズ紙が主催した医薬品・バイオ技術関連の会合で、超低温での輸送や保管という点で課題があると指摘し、「この問題への対応は英国や米国では簡単ではないが可能だ。ただ、発展途上国では恐らくずっと難しくなる」と述べ、発展途上国への供給体制への懸念を示した。
米バイオ医薬大手のモデルナ (O:MRNA)が開発中のワクチンもmRNAを使っており、セ氏マイナス20度で保管する必要がある。
ファウチ氏は「こうした理由から、われわれは計画をまとめる際に、ワクチンプラットフォームと呼ばれるものを多様化したいと考えている。mRNAだけではない。米国では3つの個別のプラットフォームが検討されている」と説明した。