[ワシントン 11日 ロイター] - 米財務省は11日、北京字節跳動科技(バイトダンス)による2017年の米動画アプリ「Musical.ly」(ミュージカリー)買収を巡る国家安全保障上のリスクについて解決を望む意向を表明した。バイトダンスはミュージカリー買収後に自社が運営する動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の改良版に統合した。
バイトダンスは10日、トランプ米大統領のティックトック事業売却命令に対抗し、首都ワシントンの連邦高裁に申し立てを行った。トランプ氏は8月14日、バイトダンスに対して90日以内(11月12日まで)にティックトックの米国事業を売却するよう命じている。
米財務省のモニカ・クローリー報道官は「財務省はバイトダンスのミュージカリー買収に伴う国家安全保障上のリスクの解決に引き続き注力する。われわれはバイトダンスに対し、解決に必要な措置について明確にしてきた」と述べた。
トランプ政権は、ティックトックの米国ユーザーの個人情報を中国政府が取得する可能性があるとして、国家安全保障上の懸念を主張している。ティックトックはこれを否定している。
バイトダンスの申し立てはトランプ大統領、バー司法長官、ムニューシン財務長官のほか、国家安全保障上の懸念に関して外国投資を伴う特定の取引を調査する省庁間パネルである対米外国投資委員会(CFIUS)に言及している。
ティックトックは11日の発表文書で「われわれは引き続き、CFIUSと協力していくことに注力しており、見解の相違があるものの、米国の国家安全保障上の懸念に対処する解決策を見つけることを期待している」とした。
バイトダンスはティックトックの米資産を新たな事業体に移すため、米ウォルマート (N:WMT)およびオラクル (N:ORCL)と協議を行っており、10日には協議を完了できるよう、8月14日の売却命令の30日延長を求めた。
同社は「継続的に新たな要求に直面しており、われわれの提示した解決策が受け入れられるかどうか明確でない中、8月14日の命令ではっきりと認められた30日延長を要求した」と説明した。
また、4回目の提案を6日に提出したことを明らかにし、同案はオラクル、ウォルマート、バイトダンスの既存米株主が完全に所有し、ティックトックの米ユーザーデータやコンテンツの管理を担う新会社を設立することで、米政府の懸念に対処することを提案しているとした。
ティックトックは9月、米事業を運営するため新たに設立する会社「TikTokグローバル」の株式をウォルマートとオラクルが取得することで暫定合意したと発表した。トランプ氏はこの取引に支持を表明している。
*ティックトックの発表などを追加しました