[ブラジリア 9日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)の米州事務局である汎米保健機構(PAHO)は9日、新型コロナウイルスワクチンが入手可能になったとしても、中南米諸国が十分な量のワクチンを入手するには何カ月もかかるとし、医療従事者や高齢者を優先する接種計画を策定すべきと勧告した。
PAHOは、同地域で現在開発中のワクチンを入手するには時間がかかり、2021年以降にならないと十分な供給が得られないと警告。中南米諸国はまず人口の20%のワクチン接種を目標に掲げるべきで、医療従事者や65歳以上の高齢者、健康状態に問題がある患者を優先する必要があるとした。
同時に、各国はソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の確保やマスク着用、手洗いなどに関する措置を緩めてはならないとした。
PAHOのエティエンヌ事務局長は、各国でのワクチン展開に向け、物流システムと低温保管が可能なサプライチェーンの確保に尽力しているとした。
また、北半球で冬季が近づく中で、米国とカナダで週間の新型コロナ新規感染者数が急増していることは特に憂慮すべきと指摘。メキシコでは米国との国境に近いバハカリフォルニア州で感染者が急増しているほか、ブラジルでは新規感染者数が南米で最多となっており、感染者および死者の増加が同国の医療システムを圧迫し、一部地域の病院は収容能力が限界に達しているとした。