[ロンドン 10日 ロイター] - 英国と欧州連合(EU)のトップが通商協議の行き詰まりを打開できなかったことを受け、投資銀行やブックメーカー(賭け業者)は10日、英国とEUが通商政策で合意する確率を下げた。
ジョンソン英首相とEUのフォンデアライエン欧州委員長は9日に会談し、行き詰まりを打開しようとしたが、大きな溝が残っていると述べ、次の段階を決定するために13日に期限を設定した。
JPモルガンは、通商協定が成立する確率を66%から60%に下げ、近いうちに進展がなければ50%を下回る可能性があると述べた。シティは、協定成立の可能性が大幅に低下したと警告する一方、依然として成立する可能性の方が高いとの見方を示した。
JPモルガンのアナリスト、マルコム・バー氏は、これまでも期限はいくつかあったとし、交渉は13日以降も続く可能性があると指摘した。
顧客向けのメモで「『合意なし』に向けた準備が急務になっている。交渉と並行してこのような行動を取ることは、双方が協定の締結に尽力しているというよりも、むしろ『形だけ尽力している』という見方が強まる」と述べた。「週末までに合意に向けた大きな進展がなければ、合意に至る確率は50%を下回る」とも付け加えた。
合意に向け時間がなくなってきているという懸念は、10日の為替や株式市場でも映し出された。ポンドは1%安となり、株式市場では銀行の株価が急落した。
ラボバンクは合意の確率を70%から60%に下げ、INGは60%から50%に下げた。
銀行は総じて、来年以降の通商関係でEUと英国が合意に達するとの確信が根底にあるようだが、対照的に賭け業者はより慎重だ。
パディ・パワーとベットフェアは、協定不成立の確率を9日の33%から50%へ大幅に上げた。賭けサイトのスマーケッツでも、合意なしの確率が先週の19%から58%へ大幅に上昇した。
11月26日から12月1日までの間にロイターが実施した世論調査では、合意なしの確率の中央値が35%となり、前月の40%から低下していた。