[ワシントン 4日 ロイター] - 米環境保護局(EPA)のウィーラー長官は4日、大気汚染対策などの策定で同局が利用できる科学的な調査を制限する規制を最終決定したことを明らかにした。
医療・産業データなど企業の機密情報に基づく科学的調査の利用を制限する内容で、大企業に譲歩した形。新政権への移行を控え、駆け込みで決定した。
公衆衛生団体や環境保護団体は、同規制を導入すれば、大気・水質汚染対策の策定が難しくなり、国民の健康を守る上で悪影響が出ると主張している。
EPAは長年、医療・産業データなど企業の機密情報に基づく科学的調査を基に大気・水質・化学物質に関する規制を策定。研究結果やデータの多くは公開してきたが、機密情報の公表は控えていた。
ウィーラー長官はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙への寄稿で、EPAがこれまで「公開されない科学」に依存してきたと主張。「規制科学の透明性を強化」するルールにより、規制の策定の根拠となった研究結果を公の場でこれまで以上に精査することができるとの認識を示した。
EPAが今回最終決定した規制は、今月20日に発足するバイデン次期政権が撤回する可能性が高い。環境保護団体が訴訟を起こす可能性もある。