[ローマ 31日 ロイター] - イタリアの連立政権から離脱して政局を不安定化させたレンツィ元首相は、欧州中央銀行(ECB)のドラギ前総裁を首相の座に就かせたい考えだ。レンツィ氏率いる少数政党「イタリア・ビバ」の関係筋が31日、明らかにした。
レンツィ氏がイタリア・ビバの連立離脱と同党出身の閣僚らの辞任を発表したことを受け、政権運営が不安定となり、コンテ首相は先週、辞表を提出。連立の再構築に向けた交渉が行われている。
レンツィ氏は、コンテ氏の新型コロナウイルス対応を繰り返し批判してきた。イタリア・ビバの関係筋は、同党がドラギ氏の次期首相就任を望んでいるとする伊紙ラ・スタンパの報道について「われわれの提案の1つだ」と述べて認めた。
同紙は31日、マッタレッラ大統領が既にドラギ氏に首相就任を打診したと報じていた。しかし大統領府は政局危機中の両氏の接触はないとして否定した。
2019年までECB総裁を務めたドラギ氏からコメントは得られていない。
マッタレッラ氏は29日にフィコ下院議長に対し、連立政権を構成してきたイタリア・ビバと民主党、「五つ星運動」などの仲介役となるよう指示。フィコ氏の調整によって新たな連立交渉は30日に開始している。
フィコ氏は31日に、各党は新政権発足に向けて政策課題を協議するのに前向きな姿勢を示したと述べた。
レンツィ氏は31日付の伊紙コリエーレ・デラ・セラに掲載されたインタビューで、「ドラギ氏に関して議論をかき立てるのはドラギ氏本人や、何よりも大統領に対して失礼だ」と述べた。
しかし実際は、イタリア・ビバ所属の議員らは、ドラギ氏が最終的に首相に就き、支持基盤の広い政権を率いることを望んでいる。これまでの連立政権を維持した上でドラギ氏を首相に擁立することを求めているかは不明。
イタリア・ビバの重鎮議員は「大統領がドラギ氏に組閣を要請するならば、われわれは無論、支持する」と述べた。