[イスラマバード 31日 ロイター] - アフガニスタンに駐留する外国軍は、反政府武装勢力タリバンが米国と昨年結んだ和平合意で撤退期限として設定された4月末以降も駐留を続ける計画。北大西洋条約機構(NATO)の当局者らが明らかにした。完全撤退を求めるタリバンとの緊張が高まる可能性がある。
当局者の1人はロイターに「4月末までに連合国は完全撤退しない」と言明し、「条件を満たしていない」ことが理由だとした。バイデン米政権の発足を受けて「政策が変更され、これまで支配的だった撤退の性急さが見直され、もっと計算し尽くした出口戦略になるかもしれない」と語った。
昨年2月に当時のトランプ米政権はタリバンとの和平合意に調印。タリバンが合意を順守すれば、調印から14カ月以内に米軍と同盟国軍が完全撤退すると表明した。
トランプ前政権はアフガン駐留米軍を1月までに2500人に削減している。
NATO筋によると、4月の期限後の計画について検討が行われており、2月に開かれるNATO国防相会合でも主要議題になる可能性が高いという。
アフガン政府とタリバンの和平協議は9月にカタールの首都ドーハで始まったが、国内の戦闘状態が続いている。
NATOのオアナ・ルンゲスク報道官は「必要とされるよりも長いアフガン駐留を望んでいるNATO同盟国はいないが、われわれの駐留は条件に基づいていることも明確にしてきた」と指摘。
NATOによる決定はまだ下されておらず、2月のNATO国防相会合は予見できないとした。「同盟国は引き続き全体の状況を精査し、今後について協議している」とした。
同報道官によると、アフガニスタンに駐留する米軍など外国軍兵士は約1万人に上る。
NATO筋は駐留軍の規模は5月以降もほぼ同水準にとどまる見通しだが、その先の計画は不明だとした。
米国防総省の報道官は28日、タリバンは合意を守っていないが、米政府は和平プロセスに引き続きコミットしており、今後の駐留軍の規模については決めていないと述べている。