[イスタンブール 5日 ロイター] - トルコ中央銀行のアーバル総裁はロイターとのインタビューで、高水準のインフレ率になお上昇圧力がかかっているとして、利下げは今年のかなり先まで検討せず、利上げもあり得るとの見解を明らかにした。
アーバル氏が報道機関のインタビューに応じたのはこれが初めて。
同総裁はインフレ率が現在の15%から予想以上に上昇する兆候があれば、速やかな利上げを含め市場に先回りして動くと述べた。
アーバル氏は「利下げを議題に挙げるのは今年のかなり先になるまで不可能だろう」と述べた。消費者物価は2021年末のインフレ見通し(9.4%)に向けて緩やかに低下するが、その前に数か月間、小幅上昇する可能性があるとの見方を示した。
「インフレ期待や価格設定が中期的目標から逸脱するリスクを示す新たなデータが出てくれば、事前に一段の引き締めを行う」と言明した。
同総裁はエルドアン大統領の下で財務相を務め、同大統領とも近い立場にある。しかし、総裁の発言を受け、エルドアン大統領が金利引き下げを求めているにもかかわらず、中銀は緩和を急がないとの見方が強まる可能性がある。
アーバル氏は昨年11月に総裁に就任した。中銀は10.25%だった主要政策金利の1週間物レポレートを17%まで引き上げた。
アーバル氏は、これまでは金融緩和への転換が早すぎて経済的コストが表面化したと指摘し、今回は「強力なディスインフレバイアス」が政策の指針になると述べた。中銀は「市場の先を行く」ことで期待を管理すると表明した。
市場がこうした決意を確認すればインフレ期待は低下するとし、長期債投資を中心に資本流入が続くとの見方を示した。
また大幅に減少した外貨準備は入札を通じて辛抱強く回復を図ると述べ、米国や英国、日本などとの為替スワップ協定締結への取り組みは打ち切ったと明らかにした。
「外貨準備を拡大するわれわれの戦略には他の中銀とのスワップ協定は含まれていない」と語った。
トルコ経済は最近減速しているが、国民がリラ建て資産にシフトしている兆候が見られるとして、ドル化が反転する可能性があると指摘した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20210205T092844+0000