[ベルリン 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は19日、欧州と米国は、世界的な温暖化対策の取り組みで協力すると共に、デジタル市場の新たな枠組みで合意し、大手ハイテク企業の影響力を制限することが必要だとの認識を示した。
委員長はミュンヘン安全保障会議で「2050年までに温室効果ガスの排出量をネット(実質)ゼロにする取り組みを欧米が共有することは、温暖化対策で新たな世界の目標になる」と説明した。
その上で「米国は、気候変動対策で世界的なリーダーシップを発揮するためのパートナーだ」と強調した。
EUは、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする目標を掲げている。バイデン米政権も2050年までに米国が「ネット・ゼロ・エコノミー」となるための取り組みを表明している。
科学者は、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度以内にとどめるためには、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることが必要だと指摘。EUと米国の連携が、中国やインドなどの温暖化ガス排出削減を後押しすると期待されている。
フォンデアライエン氏はまた、1月のトランプ前米大統領支持者による連邦議会議事堂への乱入により、ソーシャルメディアが民主主義に与える影響の議論が転換点を迎えたと指摘。「大手ハイテク企業の抑制不可能な力に対して、民主的な制限を課すだけでは政治的暴力を止めることはできないが、これは重要な一歩になる」と語った。
「われわれの価値観、人権、多様性の受け入れ、プライバシー保護などに基づいたルール、世界的に有効なデジタル経済のルールを共に作ることが可能だ」と説明した。