[ボストン 15日 ロイター] - 米議会が、大気汚染を軽減するため精製された石炭を対象に適用している税額控除について、この石炭を使用している発電所から排出される煙が減らずに増えている実態が明らかになったことを受け、調査を進めていることが分かった。
この税額控除は今年末に期限を迎える。調査結果は延長するかどうかを巡る議会の判断に大きく影響しそうだ。
米企業に少なくとも年10億ドルの補助金効果をもたらしている精製炭税額控除プログラムを調査しているのは議会の付属機関である政府監査院(GAO)。GAOのアナリストがロイターに明らかにした。
ロイターは2018年12月、「クリーンコール」とも呼ばれるこの石炭について、使用している多くの発電所が以前よりも汚染物質を排出している実態を「特別リポート」として報道。これを受け、民主党の3上院議員が調査を求めていた。
特別リポート( https://www.reuters.com/article/us-usa-coal-pollution-specialreport/special-report-u-s-clean-coal-program-fails-to-deliver-on-smog-cuts-idUSKBN1O2171)
独立系の非営利団体「未来資源研究所」はロイター報道の内容を確認。精製炭を使用している発電所は窒素酸化物や二酸化硫黄といった汚染物質の排出削減レベルが税額控除プログラムの要求を満たしていないと結論付けた。
過去10年にわたり、米国の有名企業は精製炭事業への投資で少なくとも数十億ドルの恩恵を受けている。
米エネルギー情報局(EIA)によると、昨年だけで約1億5000万トンの精製炭が国内で使用された。生産業者は1トンが燃焼されるごとに7.30ドルの税額控除を得ている。
ロイターが確認した開示資料によると、受益者にはグローバル保険仲介会社アーサー・J・ギャラガー、デトロイトの公益事業会社DTEエナジー、ボストンのフィデリティ・インベストメンツ、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、製薬大手マイラン、ウェイスト・マネジメントが含まれている。