[東京 18日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長は18日に記者会見し、開閉会式の演出を統括する責任者が、タレントの容姿を侮辱する発言を行ったことを謝罪し辞任したと明らかにした。
橋本会長は「発言は不適切であり大変遺憾」だとし「容姿を侮辱する発言はあってはならない」と述べた。
五輪・パラリンピック開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏は、開会式の出演者候補として名前が挙がっていたタレントの渡辺直美さんを侮辱するようなメッセージをLINE上で送ったことを週刊誌に報道された。佐々木氏は昨夜、橋本会長に辞意を伝え、会長はこれを受け入れた。
後任について橋本氏は「早急に進め、大会実施に影響がないよう取り組む」とした。また、国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ調整委員長に電話で事実関係を説明し「適切に対応する」と伝えたことも明らかにした。
佐々木氏の謝罪文によると、渡辺さんに対する演出アイデアの中で、オリンピックの語尾をピッグに変え、ピンク色の衣装に豚の耳をつけるように提案した。
佐々木氏は「渡辺さんに対し、大変侮辱となる発案や発言で、取り返しのつかないこと。心から反省し、心からおわびする」と謝罪。「内輪のやりとりのつもりだった」としている。
東京都の小池百合子知事は、今回の問題について「一言でいうと大変恥ずかしい」と批判。「コロナが発生し世界が変わっている中で、世界に、日本から東京から何を発信するか。そこにネガティブな発信をしてどうするんだと思う」と記者団に述べた。その上で「時間的、費用的にこれ以上の余裕はない」として、組織委と共に準備を進めていく考えを示した。
渡辺直美さんは所属する吉本興業を通じ、五輪の延期で出演依頼がいったん白紙になったと聞いていたとした上で「最初に聞いていた演出とは違うこのような報道を受けて私自身正直驚いている」とのコメントを発表。1人の人間として「それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界になれることを心より願っている」とした。
*内容を追加しました。
(宮崎亜巳、内田慎一)