[シンガポール 29日 ロイター] - 中国の石油大手、中国石油化工(シノペック)は29日、2050年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を目指すと表明した。
短期的には天然ガスの開発に力を入れ、長期的には水素に軸足を移す。
同社は水素の生産で国内最大手。今後5年間は化石燃料ベースの水素生産を重視するが、太陽光・風力発電を利用した「グリーン水素」の導入も開始する。張玉卓会長が決算会見で明らかにした。
2025年までに1000カ所の水素ステーションを設置する計画。今年は100カ所を設置する。
同会長は「水素はシノペックのエネルギー移行で核となる。国内ナンバーワンの水素企業を目指す」と述べた。
IHSマークイットのデータによると、中国では燃料としての水素の利用がまだ初期段階にあり、水素自動車(トラック、バス)の数は昨年末時点で1万台未満。大半が試験的に利用されている。年間の水素利用量は3000トンで、米国に次いで世界2位。
IHSのコンサルタントは「シノペックはまずネットワークを構築しようとしている。ただ、グリーン水素と燃料電池はコスト面でボトルネックに直面しており、業界全体が離陸するには、かなりの時間が必要になるかもしれない」と述べた。
シノペックのもう一つの重点分野は天然ガス。同社は天然ガスの生産で国内2位。中国政府は石炭の利用縮小を推進しており、天然ガスの需要は今後10年で大幅に拡大するとみられている。
同社は今後3年で天然ガスの生産を年平均10%以上増やす方針を示した。2021年の生産は340億立方メートル、2022年は380億立方メートル、23年は420億立方メートルとなる見通し。
2020年の実績は302億立方メートルだった。