[ニューヨーク 18日 ロイター] - 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が18日公表した年次報告書によると、紛争や迫害、人権侵害などで居住地を離れた人々が2020年末時点で8240万人と過去最高となった。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官はロイターに対し、新型コロナウイルス感染症が流行した昨年、大半の人々にとって移動が実質的に不可能だったにもかかわらず、新たに300万人が避難を余儀なくされたと語った。
報告書によると、新たな難民の70%近くがシリア、ベネズエラ、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマーの5カ国からの難民だった。
グランディ氏は、難民の増加傾向は続いており、今年1─6月の難民数を集計すれば8240万人からさらに増えているとの見方を示した。難民の約42%が子どもだという。
また、アフガニスタンやソマリアなど以前からの紛争地域だけでなく、モザンビーク、西アフリカのサヘル地域、エチオピア北部ティグレ州など新たに紛争が起きた地域からの難民も増えているとした。
グランディ氏は世界の指導者に対し、難民を「悪魔扱い」するのをやめるべきと訴え、「避難の理由が何であれ、どの人間も同様に尊厳に値する」と語った。
報告書によると、20年に正式に再定住した難民はわずか3万4400人で、前年の3分の1にとどまった。再定住先は米国、カナダ、欧州だった。