［ブリュッセル／ビリニュス １日 ロイター］ - 欧州連合（ＥＵ）は１日、ベラルーシからの移民流入問題について、同国と国境を接する加盟国ポーランド、リトアニア、ラトビアに対し、移民の権利制限を容認する提案を行った。
ただ、ＥＵは移民危機は和らいでいるとの認識も示しており、新たな提案はＥＵと北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の東端に位置する３カ国との連携を強調する政治的意味合いも大きい。
３カ国は国境に押し寄せる移民に対し、個々の事情を精査することなく入国を拒み、国際人道法が保障する難民申請の機会を否定してきた。
ＥＵ欧州委員会は３カ国に対し、今後半年は特定の国境検問所など指定場所でのみ難民申請を受け付けることを認めると提案。
また、難民申請者を最長１６週間、国境地帯にとどめ置くことが可能になるとした。通常は、国内のより適切な場所で滞在する権利が移民・難民にはある。難民申請者に対しては、申請の結果が出て初めて基本的な公共サービスを提供する義務が発生するとした。
ヨハンソン欧州委員（内務）は、ベラルーシが１９００人のイラクからの移民を本国に送り返し、他の移民も国境地帯から呼び戻すなど、移民危機はここ数週間で和らいでいると指摘。ＥＵはベラルーシが中東などから移民・難民を集めてＥＵに送り込んでいると主張してきた。
ヨハンソン氏は「緊張は緩和しているが、警戒を続ける必要がある」と述べた。
国際非政府組織（ＮＧＯ）オックスファムはＥＵの提案について、「ＥＵ国境での移民の拘束を支持することは、人々の命より政治を優先させている」と非難した。