[東京 25日 ロイター] - 岸田文雄首相は25日の衆院予算委員会で、物価上昇が経済に与える影響について「良い、悪いという線を引くのは難しい」との考えを示した。企業の価格転嫁が進み、賃上げを伴う経済成長の好循環の中での物価上昇が好ましい、との考えも述べた。
階猛委員(立民)の質問に答えた。足元の物価上昇について、岸田首相は「世界的な原材料費やエネルギー価格高騰が背景にある」と指摘した。
首相は、価格転嫁が足踏みして「賃上げが行われない悪循環は脱しなければならない」との考えも述べ、「価格転嫁の施策パッケージを用意し、関係者が努力することで(転嫁が)行われるよう進める。そのうえで賃上げが行えるよう税制などで賃上げの雰囲気を作りたい」とした。
一方、消費税に関しては「社会保障を支える重要な安定財源として重視している」との認識を改めて示し、「(消費税率を)引き下げる政策手段は取らない」と語った。
<「方向性は短縮」と首相>
山井和則委員(立民)は濃厚接触者の待機期間について「米国は5日としており(原則10日とする日本の待機期間は)長すぎないか。短縮すべきと考えるがいかがか」と質した。
これに対し、岸田首相は「感染を防ぐ観点と社会経済を回すバランスのなかで重要な論点」と指摘。「感染対策に万全を期す一方で、社会経済活動を回す観点から、科学的見地に基づきどこまで短縮できるかをしっかり確認しなければならない」と述べた。
今週中には方向性を出すかとの質問には「方向性は短縮の方向で検討するが、一定のリスクも伴う」とし、「期限を区切って申し上げるのは控える」と明言を避けた。
<予算案資料の誤り陳謝>
2022年度予算審議に先立ち国土交通、文部科学、法務3省からの提出資料で表記に誤りがあったことについては「過ちは大変遺憾で、重ねておわびしたい」と陳謝した。
首相は「気の緩みとの指摘は当然で、改めて気を引き締め、再発防止に努めるよう指示した」と語った。階猛委員への答弁。