[ロンドン 9日 ロイター] - 地球の平均気温が2026年までのわずか5年間で一時的にも産業革命前より1.5度上昇してしまう可能性は50%ある──。国連専門機関の世界気象機関(WMO)が9日、こうした警鐘を鳴らした。
2015年に採択された国際的取り決めのパリ協定は、今世紀末までについて地球の平均気温上昇を産業革命前から2度よりもかなり低く、できれば1.5度にとどめることを目標としている。ただ実際には、ただほんの1年間でもこの気温上昇が1.5度に達すれば、世界中でサンゴの多くが死滅したり北極海の氷が縮小したりすることを通じて、地球の環境や気候がさらに深刻な影響を受ける可能性がある。
平均気温が短期間にでも1.5度上昇する確率は15年以降、じりじり切り上がっている。20年の科学者らの算出では発生確率は20%とされたが、昨年の改定では40%とされた。
WMOのターラス事務局長は「われわれは一時的にパリ協定の最低限の抑制目標にもう到達してしまう状況に少しずつ近づき続けている」と警戒感を示した。
パリ協定実現に向けた世界各国の排出量削減努力はまだ不十分で、むしろ現在の社会経済活動と政策を前提にすると、今世紀末の平均気温は産業革命比で約3.2度の上昇になると予想されている。
WMOのディレー気候担当副局長は「気候変動に伴う、あるいは気候変動で規模が増幅された被害が既に発生している。こうした現象の一部は予見可能な将来にとって取り返しのつかない事態になる公算が大きい」と改めて強調した。