[シドニー 11日 ロイター] - シドニー工科大学(UTS)の豪中関係研究所(ACRI)が実施した世論調査によると、オーストラリア有権者の40%は5月21日の連邦議会下院選(総選挙)で対中政策が投票に影響する争点になると考えている。
調査は2000人を対象に3月18─30日に実施。当時は南太平洋の島国ソロモン諸島と中国との安全保障協定が明らかになり、西側諸国の間ではソロモン諸島が中国の太平洋における軍事拠点となる恐れがあるとの懸念が広がっていた。
モリソン首相は選挙戦で対中強硬姿勢を前面に押し出しているが、中国とソロモン諸島の安全保障協定締結後は、野党の労働党が政府は外交でしくじり、同国の「安全保障が低下した」と非難。モリソン氏の与党・自由党は守勢に立たされている。
ACRIによると、対中政策が投票に影響すると回答した人は、豪中関係を巡って警戒と懸念を表明する傾向が強まっている。
そのように回答した人の78%は中国政府に不信感を表明。84%は中国政府が政治的な見解の相違を巡りオーストラリアを罰するため貿易を利用する意向だの見方を示した。
ACRIのエレナ・コリンソン上級研究員は、地域的な不安定性を巡る懸念の増大が選挙戦の争点となっていると指摘した。
中国に対して最もうまく対処できる政党は、自由党との回答が36%、労働党との回答が35%を占め、ほぼ拮抗した。
中国を安全保障上の脅威とみなす人の比率は73%となり、2021年の調査から6ポイント上昇。台湾を巡る米中間の軍事紛争へのオーストラリアの関与を支持する人の比率は56%で、21年の調査から11ポイント上がった。