[チュニス 17日 ロイター] - 17日に行われたチュニジア議会選挙で、選挙管理当局が発表した暫定投票率はわずか8.8%にとどまった。権限強化を進めるサイード大統領に反発した主要政党は選挙をボイコットし、経済悪化などを背景に国民の間にも現政権への不満が広がっている構図が浮き彫りになった。
有力野党の1つである「救国戦線」は、低い投票率はサイード氏の政権に正当性がない証拠だとして大統領の辞任を求めるとともに、国民に大規模なデモや座り込みによる抗議に動くよう呼びかけた。
別の有力政党「自由憲政党」を率いるアビル・ムッシー氏もサイード氏の退陣を要求し、国民の9割以上がサイード氏の政治プランを拒否したと強調した。
投票所近くで話しを聞いたある有権者は「今回の選挙には納得していない。これまでの選挙では真っ先に投票してきたが、今は興味がなくなった」と語った。
17日は、ちょうど11年前にこのチュニジアで独裁体制に抗議する男性が焼身自殺を図り、中東・北アフリカの民主化運動「アラブの春」につながった節目の日。ただ同国ではサイード氏が政権を掌握して以来、昨年7月に議会を停止し、大統領令だけで政策運営を行うなど強権的な姿勢を打ち出し、民主主義の先行きに暗雲が立ち込めている。