Yantoultra Ngui
[シンガポール 27日 ロイター] - 国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)のユルゲン・ストック事務総長は27日、コロナ禍で「爆発的」に増加した人身売買とネット詐欺を組み合わせた組織犯罪が、当初の東南アジアだけでなく世界的なネットワークとして広がっている、と警鐘を鳴らした。
ストック氏は「ネット上の匿名性を利用し、新たなもうけの手口に触発され、コロナ禍で急激に増殖したこれらの犯罪組織は10年前には想像できなかったほどの規模に膨らんでいる」と説明。初めは東南アジア限定の脅威だったが、今は世界全体における人身売買の危機となり、被害者は数百万人に上っていると付け加えた。
同氏によると、犯罪組織は合法的な仕事があるなどと言葉巧みに人々を勧誘してネット詐欺のグループに身柄を売り渡すことで、麻薬密輸以外に収益源を確保している。
依然として犯罪組織の収入の40─70%は麻薬密売だが、人身売買や武器密輸などにも手を広げているという。
同氏は、国際金融システムを通じて行われている違法取引は年間で約2兆─3兆ドルに達しており、犯罪組織は毎年500億ドルほどの利益を得られると指摘した。