米連邦準備制度理事会(FRB)は12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げに向けて、市場に12月の利上げシグナルを送る意向のようだ。
米国の大統領選挙を控えた不透明感がくすぶる中、短期金利の上昇に気をもんでいるFRB高官らは11月の利上げは見送り、12月に追加利上げに踏み切る方針を維持している。
問題は、11月のFOMCで、どの程度強く12月の利上げシグナルを送るかであるようだ。
金利先物市場での12月の利上げ確率はすでに73%に達した。
FOMCの意向が市場に伝わりつつある。
FOMCが11月会合において、「それほど強いシグナルは必要ではない」と判断した場合、11月会合の声明は前回9月会合とほぼ同様の内容になる可能性が強い。
9月声明では、「利上げの根拠が強まった」と指摘したが、時期には言及しなかった。
FOMC高官らは講演やインタビューでの発言から、12月の利上げを予想していることは明らか。
同時に、インフレはいまだに2%以下で、利上げに緊急性を感じていないメンバーもいる。
NY連銀のダドリー総裁も14日のインタビューで、「今すぐ、行動する緊急性はない」と指摘。
利上げはあくまでも経済が引き続き予想通りに進展することが条件だと慎重な見解を示した。
一方で、速やかな利上げが必要と感じている連銀総裁も少なくない。
9月FOMCでは、タカ派として知られるジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁に加えて通常はハト派として知られるローゼングレン・ボストン連銀総裁が利上げを主張し、金利据え置き決定に反対した。
9月FOMC前に開催された公定歩合会合の議事録の中では、全米12地区連銀のうち9地区連銀が利上げに必要性を主張したことも明らかになっている。
イエレンFRB議長は14日の講演で、低金利を維持することで経済を過熱させ、停滞している企業の設備投資を少しでも回復させ、労働市場の状況もインフレ圧力のリスクにならずにさらに改善させることが可能と考えていることを明らかにした。
これに対し、ローゼングレン・ボストン連銀総裁やウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁は失業率を過剰に低下させると、消費者物価を望ましい水準以上に引き上げFRBは急激な利上げを強いられる、と反論している。
ウィリアムズ総裁は、FRBが遅れるよりも速やかな利上げをすべきで、これにより急激な利上げが避けられると指摘。
本日のインタビューでは、「12月FOMCは利上げに理想的なタイミング」と述べている。