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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆為替で強弱分かれる◆

発行済 2016-12-04 10:05
更新済 2016-12-04 10:33
【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆為替で強弱分かれる◆


〇来年相場への強弱、為替で見方割れる〇

外資系証券を中心に17年相場見通しの発表が相次でいる。
普段はあまり気にしないのだが、足元のトランプ相場への見方が割れていることもあって、少々眺めて見た。
日本株強気の代表はモルガン・スタンレー。
17年は日本株の年になるとし、成熟の米株からの乗り換えを推奨。
「日本企業の1株当たり利益は世界の他の地域よりも速いペースで拡大し、TOPIXは最大24%上昇する」との予想。
前提条件は、一段の円安、エコノミスト予想を上回る日本の経済成長、世界景気の堅調な拡大。


一方、弱気派はトランプバブル崩壊で円高を予想する向きが多い。
代表はUBS証券。
トランプ政策への期待は「誤解に近い」とし、3か月後1ドル102円、12か月後98円を予想する。
国内対策と対外政策に時間差が生じ、貿易に逆風で成長を抑制する対外政策の影響が早く出て、議会の承認プロセスが必要な国内向け財政出動は遅れるとの見方が背景。
文章にはし辛いトランプ歯車の崩壊リスクには言及していないが、潜在的には失言等、様々なトラブルが発生するリスクも見ていると思われる。


オーソドックスな見方はゴールドマン・サックス(GS)。
リターンは少しだけ向上し、米株は現状並みの横ばい圏、日本株TOPIXは3.7%下落、最もリターンの良いのは日本を除くアジアで+12.5%。
米10年債利回りは17年末2.75%想定。
通商政策への懸念は行き過ぎで、新興国市場リスクは一時的との見方。
ただ、人民元は1ドル7.30元まで下落を予想、ヘッジを推奨する。


未だ国務長官、財務長官も決まらない中で、トランプ政策を吟味すること自体が時期尚早のように思うが、少なからず中長期投資家の来年ポートフォリオ構想に影響すると思われる。
結局、円安依存相場なので、為替動向の見方で株価予測も大きく変わることになる。
昨日のドル建て日経平均は163ドル丁度。
ドル円100円を前提にすれば16000円台に下落、120円への円安を見込めば19560円、2万円乗せが視野に入ることになる。


私見では、保護貿易主義的な攻防は綱引き的な為替安定に向かう(高率関税を掛けても為替が大きく動けば効果は薄れる。
また、日銀が円安効果を過大視して物価目標2%達成を外したように、大きな変動自体が投資や消費の委縮を招く影響を除いた方が望ましいとの見方)公算があり、投機的動きも破壊的相場にする力は無く、一定ゾーンの往来を激しくする程度と見ているので、極端な円安、円高論は排除したい。
今は1ドル110円±2.5円か、110~115円ゾーンか、の居所を探る局面と見る。
つれて日経平均もゾーン移動の考え方で、当面17500~19000円ゾーンの攻防と見る。
昨日、米第3四半期GDP改定値が速報値の+2.9%から+3.2%に上方修正された。
ルー財務長官の(政治的思惑だったが)ドル高抑制が効いていた局面と考えられ、第4四半期のドル高影響が注目されるところだ。


なお、月末と12月4日のイタリア国民投票、その後のECB理事会を控え欧州情勢を睨んだポジション調整(利益確定中心)の動きが出ているようだ。
「ECBが伊国債買い支え用意」と報じられ、身構える動き。
ECBの報告で、イタリアの銀行はユーロ圏全体の3割相当の不良債権を抱える(欧州124行で9900億ユーロ、うち伊銀行14行で2860億ユーロ)。
処理に必要な資本調達に支障が出る事態となるかどうかが混乱リスクの目安と考えられる。



以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/11/30号)


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