[ブリュッセル 23日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は23日、NATOは24日に開く緊急首脳会議で、ロシアに近い欧州東部の防衛力増強を決定する公算が大きいと述べた。
NATOはこれまでにバルト海から黒海にかけて約4万人の部隊を配備したほか、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアへも増派を検討するなど、欧州東部の防衛力を強化している。
ストルテンベルグ事務総長は記者会見で「全ての領域における態勢強化にNATO首脳が同意し、NATO東部での大幅な増強が合意されると予想している」と述べた。
その上で、ウクライナを巡る危機でNATOが長期的な抑止力と防衛態勢を再考する必要があることが明らかになったとし、この件については6月にマドリードで開かれる次回の定例首脳会議で討議されると指摘。「平和を当然視することはできず、新たな危機感を持っている」と述べた。
ストルテンベルグ氏によると、NATO首脳は化学・生物兵器のほか、放射線や核の脅威からウクライナを守るための装備を含め、ウクライナに対する追加支援でも合意する見通し。ロシアに対し、ウクライナで核兵器、生物・化学兵器を使用しないよう警告すると同時に、NATOには「同盟国を常にあらゆる脅威から守り抜く」用意があると強調した。
ストルテンベルグ氏はこのほか、ロシアのウクライナ侵攻を中国が支援する可能性を懸念していると述べた。24日の首脳会議でウクライナでの紛争における中国の役割について議論するという。
記者会見で「中国はあからさまなうそや偽情報を広めるなどしてロシアに政治的支援を提供してきた」と指摘。中国がロシアに「物質的支援」を提供する可能性があるとの懸念を示した上で、「NATOが中国に対し責任を果たすよう求めることを期待する」とした。
また、ロシアのウクライナ侵攻で化学兵器が使用された場合、広範囲に影響が及ぶと警告。「化学兵器の使用は紛争の性質を完全に変化させる。あからさまな国際法違反だ」とした。
ベラルーシに関しては、ロシアによるウクライナ侵攻が始まる前から国内への部隊集結を認めるなど「加担」しており、今も侵攻を支援していると指摘。ウクライナの都市や市民に対する攻撃に際してロシア軍が軍事飛行場を使用するのも認めてきたと非難した。
ブリュッセルでは24日にNATO緊急首脳会議のほか、先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)の首脳会議も開かれる。