Paul Lienert Nathan Gomes
[デトロイト 26日 ロイター] - 米フォード・モーターは26日、通期の業績見通しを撤回した。全米自動車労働組合(UAW)と暫定的に合意した新たな労働協約について、組合員の正式承認を待っているためとしている。
株価は引け後の時間外取引で4%超下げた。
フォードとUAWは25日、向こう4年半で25%の賃上げを行うことなどを盛り込んだ労働協約に合意した。
ジョン・ローラー最高財務責任者(CFO)は、新契約によって1台当たり850─900ドルの人件費が追加されるとの見通しを示した。
CFRAのリサーチアナリストは26日のメモで、フォードの譲歩は利幅を圧迫し、テスラや他の非組合員メーカーに対する競争力に影響を与えると指摘した。
第3・四半期の利益は12億ドル。8億2700万ドルの損失を計上した前年同期から回復した。ただ、調整後1株利益は0.39ドルで、LSEGデータに基づくアナリスト予想の0.45ドルに届かなかった。
売上高は前年同期比11%増の440億ドル。
電気自動車(EV)部門の利払い・税引き前損益は13億ドルの赤字で、予想を上回る赤字額となった。納車1台当たり平均3万6000ドルの損失を計上した。
フォードは、EV事業が価格と収益の面で「急激な下押し圧力」に見舞われており、顧客はEVに対して内燃エンジン車やハイブリッド車よりも高い価格を支払おうとしないと説明。ローラーCFOは、新たなEV生産に向けて予定していた数十億ドル規模の投資について一部を先送りする方針を示した。
第3・四半期の商用車部門「フォード・プロ」と内燃エンジン車部門「フォード・ブルー」は、売上高、利払い・税引き前利益(EBIT)、EBITマージンともに前年同期を上回った。両部門のディーラーへの販売台数は前年を下回った。
調整後のフリーキャッシュフローは、前年同期の36億ドルから12億ドルに減少した。