■事業環境
日本の住宅はストックが増え続けているものの、空き家率が上昇しており、資産が有効に活用されていない。
人口及び世帯数の減少と住宅の長寿命化により、不動産市場の成長分野は、開発から流通へシフトすると予想される。
日本の総住宅数は、2013年に6,063万戸に達した。
10年前と比べ、674万戸、12.5%増加した。
この間、空き家率は、1.3ポイント増の13.5%に上昇した。
空き家率が最も高い山梨県は17.2%、東京都でも10.9%、10軒に1軒は空き家である。
空き家増加の背景として、税制問題がある。
小規模住宅用地は、固定資産税の税率が更地の6分の1、都市計画税は3分の1に減額される特別措置がある。
空き家でも同措置が適用されるため、空き家放置の一因となっている。
空き家放置は、放火による火事・火災、地震、台風、積雪による倒壊、不審者や動物の侵入、景観の悪化など犯罪の温床やその他の問題を引き起こすおそれがある。
そこで、地方自治体が指定した危険な空き家を対象に固定資産税軽減措置が見直され、2016年度から増税の方向にある。
住宅を空き家のまま放置しておくのではなく、活用や売却を促進する動きが強まるだろう。
日本の人口は、2008年にピークを打ち、4年連続して低下し、約100万人減少した。
国立社会保障・人口問題研究所の2012年1月推計によると、2020年の労働人口(15~64歳)は2010年比で762万人減の7,341万人へ、65歳以上の高齢者は687万人増の3,612万人と推計されている。
核家族化の進行に伴い、高齢者単身世帯もしくは高齢者夫婦のみの世帯が増加する。
ハウスドゥ {{|0:}}は、老後の生活資金確保の一助となるハウス・リースバック事業を開始した。
2014年4月の消費税率引上げは、増税前の駆け込み需要の発生とその後の反動減を引き起こした。
政府は、同年7月~9月期のV字回復を期待していた。
新設住宅着工数の推移では、月次の数値が2014年3月より前年同月比でマイナスに陥った。
1年後の2015年4月にようやくプラスに転じたものの、6月に伸び率がピークをつけ、年末には再びマイナスに転落した。
次回の消費税率引上げは、2017年4月に確定している。
引上げ幅が前回の3%に比べ2%(8%→10%)と小さくなるものの、増税前の駆け込み需要とその後の反動減が繰り返されるおそれがある。
業界では、1996年度には163万戸あった新設住宅着工戸数が、2025年度には60万戸程度まで縮小するという予想が出ている。
2010年度に閣議決定された新成長戦略では、21世紀の日本の復活に向けた国家戦略プロジェクトの1つとして、2020年までに中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模を20兆円(うちリフォーム市場は6兆円)まで倍増する目標を掲げた。
内需の要である住宅投資の活性化のための住宅政策を、新築重視からストック重視へ転換した。
国土交通省は、既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取り組みを重点課題としている。
日本の全住宅流通量に占める既存住宅の流通シェアは2013年に14.7%へ高まった。
しかし、その水準は欧米諸国に比べると6分の1程度でしかない。
住宅ストックが世帯数を上回り、空き家が増加するなか、長期優良住宅の建築とリフォームにより長期間住み続けるという方針にシフトした。
2013年度に発表された日本再興戦略では、都市再構築戦略として透明性・客観性の高い不動産市場を実現するため、各種の不動産情報やその提供体制の整備、国際基準を踏まえた不動産の評価基準の整備等を行う方針を打ち出した。
フロー拡大からストック充実に向けて質の高い多様な住宅ストックの形成を図るため、既存住宅のインスペクション(検査)や長期優良住宅化のための基準等の整備、既存住宅の建物評価にかかる指針策定等を行うとの方向を示した。
同社は、もともと「日本の住宅市場をオープンにし、お客様のライフステージに即した理想の住宅を積極的に住み替えたりできる『住まいの新しい流通システム』を築く」という理念を掲げており、世の中の流れが同調してきたと言える。
大型店舗の「ハウスドゥ!住宅情報モール」では、耐震診断の資格を持つ社員が、中古住宅の耐震性を調べる「耐震診断サービス」や住宅の劣化状態や欠陥の有無を調べる「住宅診断サービス」(インスペクション)をいずれも無料で行っている ○リフォーム市場 成長分野と目されるリフォーム市場には、ハウスメーカーはもとより、地場工務店、不動産会社、ガス会社、ホームセンター、家電量販店、通信販売(Amazon)など異業種からの参入が相次いでいる。
競争が激化するなか、リフォーム会社は相見積などにより収益性が圧迫されている。
市場の変化に対応するため、リフォーム会社は同社の主要なFC加盟店になった。
加盟店は、川上の不動産売買仲介を手掛けることで、川下のリフォーム案件の受注獲得という事業機会が増加する。
川上・川下の一気通貫サービスを提供する場合は、リフォーム工事における値下げ競争を回避できる確率が高まる。
不動産売買仲介事業を手掛けることで、リフォーム事業の営業員を増員しなくても受注高の増加と収益性の改善が図れることになる。
○相続税の増税 歳入不足に悩む政府は、2015年1月より相続税を増税した。
相続税の基礎控除の40%の減額、最高税率の55%への引上げを行った。
課税対象は、改正前の約4%から7%程度に拡大すると予想されている。
不動産価格が高い東京都心部では、課税対象が2割近くに急増するとの予想も出ている。
不動産の名義変更(相続登記)は、司法書士が代行することになる。
同社の不動産売買仲介事業のフランチャイズには、司法書士からの加盟がある。
相続に伴う不動産売却案件の内製化により、安定した登記案件獲得の仕組みづくりになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
人口及び世帯数の減少と住宅の長寿命化により、不動産市場の成長分野は、開発から流通へシフトすると予想される。
日本の総住宅数は、2013年に6,063万戸に達した。
10年前と比べ、674万戸、12.5%増加した。
この間、空き家率は、1.3ポイント増の13.5%に上昇した。
空き家率が最も高い山梨県は17.2%、東京都でも10.9%、10軒に1軒は空き家である。
空き家増加の背景として、税制問題がある。
小規模住宅用地は、固定資産税の税率が更地の6分の1、都市計画税は3分の1に減額される特別措置がある。
空き家でも同措置が適用されるため、空き家放置の一因となっている。
空き家放置は、放火による火事・火災、地震、台風、積雪による倒壊、不審者や動物の侵入、景観の悪化など犯罪の温床やその他の問題を引き起こすおそれがある。
そこで、地方自治体が指定した危険な空き家を対象に固定資産税軽減措置が見直され、2016年度から増税の方向にある。
住宅を空き家のまま放置しておくのではなく、活用や売却を促進する動きが強まるだろう。
日本の人口は、2008年にピークを打ち、4年連続して低下し、約100万人減少した。
国立社会保障・人口問題研究所の2012年1月推計によると、2020年の労働人口(15~64歳)は2010年比で762万人減の7,341万人へ、65歳以上の高齢者は687万人増の3,612万人と推計されている。
核家族化の進行に伴い、高齢者単身世帯もしくは高齢者夫婦のみの世帯が増加する。
ハウスドゥ {{|0:}}は、老後の生活資金確保の一助となるハウス・リースバック事業を開始した。
2014年4月の消費税率引上げは、増税前の駆け込み需要の発生とその後の反動減を引き起こした。
政府は、同年7月~9月期のV字回復を期待していた。
新設住宅着工数の推移では、月次の数値が2014年3月より前年同月比でマイナスに陥った。
1年後の2015年4月にようやくプラスに転じたものの、6月に伸び率がピークをつけ、年末には再びマイナスに転落した。
次回の消費税率引上げは、2017年4月に確定している。
引上げ幅が前回の3%に比べ2%(8%→10%)と小さくなるものの、増税前の駆け込み需要とその後の反動減が繰り返されるおそれがある。
業界では、1996年度には163万戸あった新設住宅着工戸数が、2025年度には60万戸程度まで縮小するという予想が出ている。
2010年度に閣議決定された新成長戦略では、21世紀の日本の復活に向けた国家戦略プロジェクトの1つとして、2020年までに中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模を20兆円(うちリフォーム市場は6兆円)まで倍増する目標を掲げた。
内需の要である住宅投資の活性化のための住宅政策を、新築重視からストック重視へ転換した。
国土交通省は、既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取り組みを重点課題としている。
日本の全住宅流通量に占める既存住宅の流通シェアは2013年に14.7%へ高まった。
しかし、その水準は欧米諸国に比べると6分の1程度でしかない。
住宅ストックが世帯数を上回り、空き家が増加するなか、長期優良住宅の建築とリフォームにより長期間住み続けるという方針にシフトした。
2013年度に発表された日本再興戦略では、都市再構築戦略として透明性・客観性の高い不動産市場を実現するため、各種の不動産情報やその提供体制の整備、国際基準を踏まえた不動産の評価基準の整備等を行う方針を打ち出した。
フロー拡大からストック充実に向けて質の高い多様な住宅ストックの形成を図るため、既存住宅のインスペクション(検査)や長期優良住宅化のための基準等の整備、既存住宅の建物評価にかかる指針策定等を行うとの方向を示した。
同社は、もともと「日本の住宅市場をオープンにし、お客様のライフステージに即した理想の住宅を積極的に住み替えたりできる『住まいの新しい流通システム』を築く」という理念を掲げており、世の中の流れが同調してきたと言える。
大型店舗の「ハウスドゥ!住宅情報モール」では、耐震診断の資格を持つ社員が、中古住宅の耐震性を調べる「耐震診断サービス」や住宅の劣化状態や欠陥の有無を調べる「住宅診断サービス」(インスペクション)をいずれも無料で行っている ○リフォーム市場 成長分野と目されるリフォーム市場には、ハウスメーカーはもとより、地場工務店、不動産会社、ガス会社、ホームセンター、家電量販店、通信販売(Amazon)など異業種からの参入が相次いでいる。
競争が激化するなか、リフォーム会社は相見積などにより収益性が圧迫されている。
市場の変化に対応するため、リフォーム会社は同社の主要なFC加盟店になった。
加盟店は、川上の不動産売買仲介を手掛けることで、川下のリフォーム案件の受注獲得という事業機会が増加する。
川上・川下の一気通貫サービスを提供する場合は、リフォーム工事における値下げ競争を回避できる確率が高まる。
不動産売買仲介事業を手掛けることで、リフォーム事業の営業員を増員しなくても受注高の増加と収益性の改善が図れることになる。
○相続税の増税 歳入不足に悩む政府は、2015年1月より相続税を増税した。
相続税の基礎控除の40%の減額、最高税率の55%への引上げを行った。
課税対象は、改正前の約4%から7%程度に拡大すると予想されている。
不動産価格が高い東京都心部では、課税対象が2割近くに急増するとの予想も出ている。
不動産の名義変更(相続登記)は、司法書士が代行することになる。
同社の不動産売買仲介事業のフランチャイズには、司法書士からの加盟がある。
相続に伴う不動産売却案件の内製化により、安定した登記案件獲得の仕組みづくりになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)