[コペンハーゲン 30日 ロイター] - デンマーク首都コペンハーゲンで30日開かれたエネルギー関連の首脳会合の記者会見で、ポーランドのモラウィエツキ首相が電力料金抑制のため欧州連合(EU)排出量取引制度を一時停止してもいいのではないかと提案したことに対し、フォンデアライエン欧州委員長がきっぱりはねつけて見せた。
モラウィエツキ氏は「われわれが欧州全体のためにエネルギーを確保し、なおかつ(ロシアに侵攻された)ウクライナに平和を取り戻そうとしている間は、排出量取引制度を切り戻すのはどうだろうか」と発言し、高騰する電力料金に同取引制度がさらに負担になっているとして対応を呼びかけた。
これに対しフォンデアライエン氏は、電力価格を構成する要素では同制度は約6%分しかないと指摘し、残りの94%はそれ以外の、主に発電のための天然ガス高騰によるものだと反論。「われわれは二酸化炭素排出量を削減するために取引制度が必要だ」と明言した。
フォンデアライエン氏は、EUが電力コスト引き下げのため緊急措置を策定中だとし、EU電力市場の構造的な改革にも取りかかっていると主張した。
ポーランドは発電の大半を石炭に頼る。同国はこれまでも、EU排出量取引市場に投機的な動きが入ることで排出権価格が押し上げられているとし、投機筋の取引参加をやめさせるようEUに要求するなどしている。排出量取引制度は、二酸化炭素を排出する発電所や企業などに排出権購入を義務付けている。