【マーケットコメント】-後退する異次元緩和の優位性
昨日は世界的な株高となった。しかし、円相場での円売りは限定的。特に筆者が興味を惹いたのが、EUR/JPY下落だった(135円台から133円ミドル付近までユーロ安/円高が進行)。
日銀&ECBによる緩和政策の導入により円とユーロは資金調達通貨としての利用価値が増したことで、同じトレンドを描く局面が散見されるようになった。
しかし、昨日のEUR/JPY下落は、ECBによる緩和強化観測を背景とした日独利回りスプレッドの拡大傾向がその要因にあると考えらる。これらの動向は、明らかに日銀による追加緩和の優位性の後退を示唆している。3四半期ぶりに悪化たした日銀短観(大企業製造業景況感)の結果を受けて尚、黒田総裁が従来のスタンスを崩さないようならば、異次元緩和の優位性がさらに後退しよう。
また、10月の株式相場が荒れる展開となれば(歴史的な大暴落は10月発生している)、投資家のリスク許容度がさらに縮小することで、今月の外為市場では円が最強通貨となる可能性があろう。実際、①米利上げ時期の不透明感が増していること(米金融引締めリスクがくすぶり続けていること)、②中国の景気減速への警戒感が高まっていること、③資源価格の低迷がタイミング悪く重なる中主要な米国企業の四半期決算を迎えること、そして④11月以降ヘッジファンドが決算を迎えること等を考えるならば、今夏のようなリスク回避の再来があってもおかしくない。