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米国マーケット「株高/金利上昇」の共存関係構築はまだ先

発行済 2015-06-08 09:20
更新済 2023-07-09 19:32
【マーケットコメント】 -労働市場改善も米株は「株安」で反応

今回の雇用統計で筆者が注目していたのは、2つのポイントだった。ひとつは、1-3月期の景気低迷が一時的な現象であったとの証拠を労働市場の持続的な改善で示すことができるかどうか。
もうひとつは、持続的な改善が示された場合の米株の反応だった。世界的に金利への上昇圧力が強まるタイミングでの良好な雇用統計は、これまで米株のサポート要因となってきた早期利上げ先延ばし期待を後退させ、むしろ米株の圧迫要因になると考えていたからだ。

結果は「株安」で反応。通常であれば、労働市場の改善はファンダメンタルズの改善が進行していることの証左である。よって「株高/金利上昇」で反応するのがリスク選好下でのセオリーだろう。
しかし、実際はセオリー通りにいかず「株安/金利上昇」となった事実は、目下株高とドル高の共存関係が成り立たないことを示唆している(今年3月以降、ドル高懸念を背景に株安となる局面が多く散見され始めている)。米金融政策の動向に敏感な2年債利回りは、雇用統計の結果を受け今年3月の水準まで上昇してきた。
5月中旬以降、この利回りと10年債利回りとの上昇率格差が目立っていたが、その差は「米ファンダメンタルズの改善は今後も継続するだろう。しかし早期利上げを促すほどの改善ではない」ということを示唆していた。だが、今週後半に発表される米指標データ(小売売上高、生産者物価指数、ミシガン大学消費者態度指数速報値)が総じて市場予想を上回るならば、「早期利上げを促すほどのファンダメンタルズ改善」が意識され、米年内利上げへの思惑がさらに強まろう。実際、FF金利先物市場での10月までの利上げ確率は5日時点で50.0%まで上昇している。雇用統計に続き良好な指標データが続いた場合、「ドル高/金利上昇」の共存関係は構築されるだろうが、その関係が米株ではリスク要因として意識され「株高/金利上昇」の共存関係が構築される可能性は低いだろう。

年内利上げ懸念による米株の不安定化に加え(先週のダウ平均週間騰落率は世界的な金利上昇がリスク要因として意識され前週比マイナス0.90%)、世界的な金利上昇のトレンドが継続すればグローバル株式市場全体が不安定化する可能性が高まろう。且つ中国経済に対する不透明感が今週の指標データで強まれば、外為市場ではリスク回避のドル高/円高トレンドが鮮明となろう。そのような展開となれば、USD/JPYは円買い圧力がドル高圧力を凌駕する展開を警戒したい。

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