USD / JPYは、金曜日に7週間ぶりに112円を上回るなど、ドルはユーロなど主要通貨すべてに対して強かった。
金曜日に発言したすべての政策立案者が9月以降にも利上げが必要だと述べたことから、 小売売上高が6ヶ月で最も弱い結果だったにも関わらずドルは上昇した。
連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つ米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事はハト派とされているが、FRBが長期中立金利を超えて金利を引き上げ続ける可能性を示唆した。
FOMCの投票権がないエバンス・シカゴ地区連銀総裁は、経済と労働市場が非常に強く、2%を少し上回る程度のインフレは驚くことではないので、2019年度の4回の利上げは合理的だと述べた 。
米ダラス地区連銀のカプラン総裁は、米国の消費が強いと認めている。これらのようなタカ派のコメントは、10年債利回りを金曜日に3%を上回るまで押し上げ、これに連動して米ドル/円(USD / JPY)が112円を上回るまで引き上げられた。
FRBは今月金利を上げる見通しだが、利上げだけしか考えていない。USD/JPYはこれに強く影響を受けて引き続き上昇する可能性はあるが、日本銀行の見通しと貿易問題が懸念材料となるだろう。ステルステーパリング(密かに量的金融緩和を縮小)をしている日本銀行の姿勢に変化はないだろうが、投資家は日銀のコメントに注意を払っている。
EUR / USDは、金曜日に下落に転じた。 木曜日の欧州中央銀行(ECB)理事会後にユーロは上昇したが、金曜日に一部の政策立案者が、経済が下方リスクに傾きつつあることを示唆し、慎重さが必要と述べたとの報道があった。 経済指標も弱く、7月のユーロ圏の貿易収支は4年ぶりのレベルまで縮小した。
ドラギECB総裁の見通しと実際の経済とに違いがあるならば、来週のインフレと他の経済指標が示すことになる。もし消費者物価指数(CPI)と購買担当者景気指数(PMI)もまた下げ気味になると、ユーロ/ドル(EUR / USD)は1.15に落ちるだろう。 しかし、ドラギ総裁が正しければ、PMIが景気の見通しが依然明るいことを示し、EUR / USDは1.17を超えて大きく上昇する可能性がある。
ポンドはブレグジットのいい流れに逆らって、 米ドルの強さに引きずられて下落した。ブレグジットの交渉はよい方向に進んでいるが、アイルランドの国境に関しては依然として大きな問題となっている。
英国のブレグジット担当大臣は合意していると考えているが、EUは否定した。どちらにせよ、ブレグジット関連ニュースと来週公表予定の消費者物価指数と小売売上高の結果に注目しよう。金曜日のポンド/米ドル(GBP / USD)は大きく下落して終わったが、来週1.30を試しにくる可能性がある。
今週、オーストラリアドルとニュージーランドドルは2年ぶりの安値を記録したが、強い指標結果が出て、どちらも反発した。
オーストラリアでは、ビジネス環境が改善されて 雇用の伸びが強くなり、ニュージーランドの製造業の活動が4ヶ月ぶりに加速した。来週はオーストラリアの注目すべき経済指標はないが、ニュージーランドは第2四半期GDPが発表予定だ。 乳製品価格の下落にもかかわらず、強力な小売売上高と貿易が第2四半期の成長を促進しただろう。米国は新たな協議を提案しながら、追加の関税で中国を脅すため、貿易戦争関連ニュースは両通貨にリスクをもたらし続けるに違いない。両通貨は金曜日に下落し、流れは下へと向かっている。
一方、カナダと米国の貿易交渉は今週何ら意味のある進展を見せていない。 来週、カナダのフリーランド外相は交渉を続けることになるだろうが、主要な問題は乳製品だ。カナダは、国内産業の利益のために外国製牛乳の量を制限しているが、これを緩和して米国の生産者が牛乳やチーズをカナダにもっと売ることができるようにしたいと米国は考えている。 フリーランド外相は、事務レベルでもっと多くの協議を行う必要があることを認めている人物であり、今週の報道によれば、トランプ大統領は、彼の条件に同意しないと米国 ・ メキシコ ・ カナダの協定からカナダを外す意思を持っている。 協議は完全には決裂していないが、投資家はこれまでの進捗状況に満足していないので、今後 USD / CADは上昇するだろう。 カナダ経済指標でも来週公表予定の小売売上高と消費者物価指数が注目される。