- ほとんどの米国株式は金曜日上昇したが、週次では下落している。
- 米国債は頂点を打ったかもしれない。それにより株価がの下落やSPX VIXの上昇が考えられる。
- ドルは17日間の高値から、上昇チャネルラインの下限まで落ちた。
- WTI原油は、デットクロスを形成しようとしている。
米中間の通商問題の進展への期待は金曜日、米国主要インデックッスS&P 500、ダウ平均、 Russell 2000を2日間の高値の水準まで押し上げた。しかし、 ナスダック総合指数は今回も下落していた。また週次では、小売売上高への懸念やテクノロジー株の停滞を受けて、すべてのインデックスで下落していた。米国債利回りも下落し、 米ドルを押し下げている。米国債利回りが下落しているということは、リスクオフのセンチメントが再びマーケットへ戻ってきている可能性がある。
これは先週から過去2週間でみられていた金曜日に下落したが、週次では上昇しているというパターンの逆である。私は先週から過去2週間の動向では、週をまたいだポジションを嫌気するが、好景気や好決算なので投資は継続していると解釈した。Gallupの調査によると、今年は19年間でもっとも良い経済状態だという。また、 消費者信頼感が14年間でもっとも高水準だという。株式市場は、リーマンショック以来もっとも好決算であった。
リスクオフになる3つの理由
好景気にかかわらず、なぜリスクオフになるのだろうか?
1.アップル(Apple) (NASDAQ:AAPL)は ナスダック総合指数の12%を占め、ダウ平均の5%を占める。先週のアップルは5%下落し、7ヶ月間ぶりで最大の下落幅であった。iPhoneの売上や、アップルの成長率に対する懸念が7週間連続の下落へとつながった。2012年以来で最長の連続下落となっている。
2.原油やVIXも傾向は続いている。ガソリン価格の高騰は消費者物価指数を押し上げていたが、最近の原油の下落は逆の現象を引き起こしている。総合して、インフレの加速や利上げペースへの懸念が薄れたことにより、消費者物価指数は予想通りの水準で上昇していた。
3.英国のEU離脱(ブレクジット)に関しては離脱協定素案が合意されたが、議会の承認や内閣の辞任は、最終的な合意への不確実性を示している。
大企業は返り咲く
非常に珍しいことだが3月ぶりに、小型株も大型株も金曜日は上昇した。米中間の貿易戦争が始まってから、小型株も大型株も下落気味に調整していた。テクニカル的には、ダウ平均は強気であるが、Russellは弱気と読み取れる。
ダウ平均は2日連続で上昇し、金曜日0.49%上昇した。2日間では合計1.33%の上昇である。トランプ米大統領が今月のG20で、中国と合意したいことを示唆している報道の後で、ダウは上昇していた。
Chevron (NYSE:CVX)とExxonMobil (NYSE:XOM)を合わせると、ダウ平均の5%を占める。原油が3日連続で上昇していることもダウ平均を押し上げる要因になっていた。
2016年序盤の調整以来の上昇トレンドや、上昇基調の200日線の上を推移している。50日線は100日線の上にあり、100日線は200日線の上にありこれは強気相場を表している。ダウ平均は、上昇チャネルラインの中で唯一中期で上昇しているインデックスである。
Russell 2000は金曜日0.51%上昇し、2日間合計で1.67%上昇している。金曜日や、2日間の上昇相場の中でも、Russellは主要な米国インデックスの中でも良いパフォーマンスだった。
しかし、Russellはダウ平均と対象的に、弱気だと言える。Russellは2016年の2月を底とする上昇トレンドや200日線の約6%下を推移している。50日線は200日線を下回り、デットクロスを形成している。これらの兆候はさらに下落することを示唆している。
Russellは9月以来16%下落した後、大きなトライアングルを形成している。この弱気相場は、200日線を下回り、デットクロスを形成したことによって確定的になった。
金曜日のS&P 500(SPX)は0.22%上昇し、2日間合計では1.28%の上昇である。トランプ米大統領が中国との通商合意を示唆した後に、S&Pは上昇していた。しかし小売業株の不調によって、上昇が抑えられていた。
デパートメントチェーンのノードストローム(Nordstrom)(NYSE:JWN) の決算は予想を下回り、株価は下落した。テクノロジー株は、半導体メーカーのエヌビディア(Nvidia)(NASDAQ:NVDA)株の下落によって、 テックセクターへの圧力になっていた。
SPXの中でも公益事業(+1.54 percent)はアウトパフォームだった。続いてエネルギー (+1.19 percent)が上昇していた。SPXのテクニカル的には、長期上昇トレンドや200日線を下回っている。また、50日線は100日線をデットクロスしている。
ナスダックは米国主要インデックスの中で唯一週次下落して終えた(-0.15%)。これはエヌビディアショックの影響を受けている。ナスダックのテクニカル的には、2016年の1月の調整以来の上昇トレンド上ではあり、200日線より上にある。しかし、50日線は100日線を下回りデットクロスを形成している。最後に、10月1日から29日で14.6%下落した後、シンメトリートライアングルを形成している
各インデックスは、専門家の否定的な意見や軟調な業績見通しなどのマイナスなニュースに対して違った反応を見せている。ダウ平均は、年度累計2.81%上昇している。そして、ナスダックは5.9%の上昇である。しかし、Russellは、0.5%の下落である。よって、中国の成長が停滞し、FRBの利上げの見通しの背景の中で、長期的な上昇相場は再開すると考えられ、貿易戦争はマーケットに対して大きな向かい風であるわけではないようだ。
リチャード・クラリダFRB副議が金曜日に、世界経済は鈍化しているとみられるため、政策金利は中立に向かっていると発言したことにより、ドルや米国債利回りへの圧力なっている。
先週月曜日、米10年債利回りは3.186に達していたとき、私たちはダブルトップを形成し、下落していくと警告していた。現在は3.065であり、これから下抜けしていき2.87%下落していく可能性がある。
投資家は、COBE SPX ボラティリティー指数(VIX)は木曜日と金曜日において下がっているが、週次では上昇している。VIXは株式と相反するように、VIX2週間連続で下がっていたが、先週は上昇して終えた。
米ドルインデックスでは、17ヶ月ぶりの高水準の終値を付けた後、上昇チャネルラインの下限に向かって下落している。いまだ上昇チャネルラインの中であり、50日線と100日線の上を推移している。よって、中期的なロングエントリーをするには魅力的だろう。しかし、もし米国債利回りがダブルトップを形成し落ちていったら、外国人投資をひきつけ、ドルの需要が減少する可能性がある。その場合、このドルインデックスの上昇チャネルは下抜けしていくと考えられる。
原油は12日連続下落の最長記録の後で、3日間反発して2%上昇した。しかし、金曜日の上昇を見ても、原油価格の上値がいかに重いかが見受けられる。
テクニカル的には50日線は100日線を下回り、さらに200日線をデットクロスしようとしている。
一週間の見通し
月曜日
9:30: オーストラリア– オーストラリア準備銀行(RBA)会議議事録:豪経済やインフレの見通しが上がっているが、RBAは低金利を据え置きすると考えられている。失業率は十数年中の最低水準である5%である。
オーストラリアの就業率が上がっている状況で、ドル安になりリスクAUD/USDが上昇を招くだろう。
火曜日
22:30: アメリカ – 住宅着工件数、建築許可 (10月): 建築許可は126万件、住宅着工件件数は125.5万件の見通し
水曜日
22:30: アメリカ – 耐久財受注 (10月): 前月比2.5%減少、コア耐久注文は前月比0.4%上昇の見通し
木曜日
00:00: アメリカ – ミシガン大学消費者信頼感指数 (11月): 98.3%を維持する見通し
00:30: アメリカ – 原油在庫量 (11月16日付): 9週連続で328.2万バレル増加する見通し
金曜日
00:00: ユーロ圏 – 消費者信頼感 (11月、フラッシュ): 前回の2.7%から3.0%へ減少する見通し.
17:15 – 18:00: フランス, ドイツ, ユーロ圏 – 製造業PMI (11月、フラッシュ):ドイツの数値の弱さがユーロへ波及するかもしれないが、前月より向上する見通し。
22:30: カナダ– 消費者物価指数 (11月): 前年比2.2%のインフレの見通し
23:45: アメリカ – 製造業 and サービス業 PMI (11月、フラッシュ): 製造業PMIは55.7を維持し、サービス業PMIは54.8から54.9へ増加する見通し