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ブレグジットとイタリア問題、リスク回避の3つが週明けのFX市場を動かす

発行済 2018-11-24 21:15
更新済 2023-07-09 19:31
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先週の最大の関心事は、通貨にも波及した株式市場の大幅安だった。米国株は、年間の上昇分を吐き出してマイナスに転じた。これは2ヵ月前に約9%上昇していた S&P 500がそれ以上に下落したことになり重要である。1ヶ月ですべての利益を失い、短期間で回復するも、現在はマイナスに戻っている。その結果、リスク回避により米ドルに対して主要通貨のすべてが安くなる事態となった。中でも カナダドル原油価格が下落するにつれ大きく値を下げ、大打撃を受けることになった。その他の通貨では、 日本円スイスフランは最高のパフォーマーであったのに対し、オーストラリアドルとニュージーランドドルはリスク回避の環境では当然だが、最悪の通貨となった。来週はEUのブレグジットサミットとG20が最大の注目となるだろう。経済指標では、ドイツの IFO景況指数失業率、米国の消費者信頼感指数貿易収支, 個人所得, 個人支出, 第3四半期GDP FOMC議事録、ニュージーランドの貿易収支、中国のPMIに注目が集まるだろう。

欧州の指導者たちは、日曜日に特別にブレグジットサミットを開催する予定で、月曜日の外国為替市場の再開までに、会議がうまくいくかどうかを知るべきだ。先週、メイ英首相が欧州連合(EU)と合意した後、 ポンドは大きく上昇したが、この合意はブレグジットの主要な問題の多くを解決するものではない。 EUにとってジブラルタルとアイルランドのバックストップ(安全策)と漁業の権利は、合意を打ち砕く可能性がある解決に時間がかかる問題だ。スペインは、ジブラルタルの地位を含むブレグジットのいかなる合意も拒絶することを明らかにした。現在、英国は27の加盟国の大多数(全部ではない)が協定を支持する必要があるが、スペインの要求を呑めば協定はおそらく修正される。そしてそれは様々な懸念を打ち消すために協定をさらに迷走させる可能性がある。英国の場合、EU首脳が合意を承認しても、メイ首相はそれを議会に諮る必要があり、議会を通過するには過半数の320票が必要だ。首相は少なくとも316の保守党票を持っているはずだが、閣外協力するDUPの10票を得るチャンスはほとんどないので、野党労働党の議員に合意案を支持するように働きかけるだろう。労働党はほとんどの議員が拒否すると考えているが、揺れているブレグジット支持者もいて造反する可能性もあるため、厳しい戦いになるはずだ。これが意味することは、仮にEUが週末にブレグジットの合意を承認すれば(そうなるだろうが)、GBP / USDは上昇するだろうが、議会での大きな戦いが待っているため早すぎる大きな上昇には注意が必要ということだ。

その一方で、イタリアの予算問題は、ドルに対し低い水準に落ちているユーロを悩ませ続けている。先週、欧州委員会は、その財政規律に合致する予算案の提出を拒否したとして、イタリアに対して制裁発動に向けた手続きに入った。 EU加盟国は、欧州委員会の過剰財政赤字是正手続き(EDP)開始の決定に2週間以内で賛同しなければならず、その場合、欧州委員会はイタリアに赤字を削減し、EUの財政規律の範囲に収めるための準備をする機会を与えることになる。もしその対応が不十分であれば、制裁を課すことができるようになる。制裁手続が終わった翌日、イタリアのサルビーニ副首相は「我々は後退しないし、お金をでたらめに使うつもりはない。この予算はイタリアの成長のためなのだ」と述べ、残念なことにEUとの衝突の準備をしているようだ。イタリアの政治的な問題とユーロ圏の成長率の鈍化によって、EUR / USDの反発は1.1550近くにある100日SMA(単純移動平均線)で止められるだろう。11月にドイツ、フランス、ユーロ圏のPMIが急落し、ユーロ圏経済は減速していることが先週示された。特にドイツの製造業購買担当者指数は2014年以来の最も低い数字となった。したがって今週のドイツの IFO景況指数失業率 CPIは低くなり、より成長鈍化の傾向を示すはずだ。ECBが今年で資産購入を終了する計画を進めているが、金融政策の正常化のためのさらなる手続きは、経済指標の悪化や世界的な株安、石油価格の下落により遅れる可能性がある。 ECBは次回の理事会で経済見通しを引き下げる可能性もある。

最後に分析するのは、原油価格の下落により大きな打撃を受けたカナダドルだ。10月初めの最高値から、原油価格は30%以上下落し、価格は先週1年ぶりの安値へと下落した。アルバータ州のオイルサンド(油砂)産原油の主要指標であるウェスタン・カナディアン・セレクト(WCS)は10年ぶりの安値をつけ、この問題はカナダにとってさらに深刻になっている。新しいオイルサンドプロジェクトが進んでいたにも関わらず原油需要減少となったため問題が複雑化し、日々下押し圧力が高まっている状態だ。この傾向が続くならば、仮に来週発表の月間四半期 GDPが驚くほど上昇したとしても、カナダ銀行は金利を上げるのがとても難しくなるだろう。最新のカナダの小売売上高CPIの数値はまちまちの結果となった(CPIと小売売上高は予想を上回ったが、コア小売売上高は予想を下回った)。これによりカナダドルは安くなり、金曜日のUSD/CADは大きく上昇して終わった。

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